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AI学習も実施、外部のICTツールもフル活用

明るくて広い聖光の職員室。工藤校長の指揮の下、教員と生徒の対話も活発になっている。

明るくて広い聖光の職員室。工藤校長の指揮の下、教員と生徒の対話も活発になっている。

聖光躍進の仕掛け人が工藤校長だ。外国人の修道士が校長を務めてきたが、04年に初の日本人の校長に就任するや、持ち前のリーダーシップを発揮し、学びの改革を次々仕掛けた。もともと学業第一の厳しい受験校だったが、「勉強ばかりじゃ、伸びなくなる」と情操教育を取り入れ、多様な人材づくりを目指した。中学1~2年で、キリスト教の精神に基づく人間教育や芸術教育などを実施。国語の授業では、グループによる朗読「群読」を採用、学びの基礎を徹底的に磨く。

その次に「生徒が踊れるステージを次々つくった」。勉強や部活以外の場として学校公認のジャグリングやeスポーツ、ディベート研究会などの同好会をつくることを認めた。学校主体の講座として、ロボットやロケットづくりなどに取り組む「聖光塾」も開始。「選択芸術講座」や「選択社会演習」など教養重視の体験型教育にも乗り出した。自分たちの興味に応じて、仲間と一緒に活動して成果を上げる場をつくったわけだ。

ユニークなのは外部のICTツールをフル活用していることだ。他校に先駆けて12年からネット対応を開始。生徒全員に携帯端末『クロームブック』を持たせ、教員や生徒同士のオンライン会議など情報共有を推進、英会話やプログラミング学習などにも活用している。「コロナ禍でも授業に支障が起こらなかった」という。

驚いたのは、生徒全員が情報科の授業でAI(人工知能)技術用のプログラム言語「Python(パイソン)」を学んでいることだ。数学教員が中心となり、統計学も含めてAI学習を実施、ロボット制作や3Dのゲーム制作など最新テクノロジーに触れる機会も提供している。一方でオンライン英会話「レアジョブ英会話」を使い、実践的な英語教育もやっている。「ディベートの全国大会で優勝するようになった」という。欧米への短期研修も積極的だ。お堅いミッション系の進学校だと思っていたが、外部の資源をどんどん活用して、生徒のデジタル化やグローバル化を促しているわけだ。

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