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俊敏に動けるのは素早く決断できるから

構想力は「これまでのルールや価値観にとらわれずに、ゼロベースでゼロから新しいことを始められる能力」のこと。アジャイルは俊敏などと訳されるが、「俊敏に動けるのは一つ一つの動作が速いからではなく、自分の考えや指針がしっかりしているので、素早く決断できるから」だという。それゆえ、この力こそがアジャイル仕事術の本質だと力説する。構想力を発揮するには「アーキテクト思考」という思考法を磨く必要があるといい、その思考法をさらに3つの思考法に分解して詳しく解説している。

俊敏力になってくると、著者の説明はより具体的だ。「メールやメッセージを15分以内に送信することを習慣化する」「一日を96コマに分けて無駄を排除する」「プロが実践するパワーポイント資料の作成法」など、細かい日常の工夫や練習方法を経験談を交えながら披露していく。続く適応力についても「複数の軸でオプションを考えることを習慣化する」「身に付ける必要がないスキルを明確に見極める」といったポイントを、ちょっとした思考訓練の例題などを用いながらわかりやすく説いていく。

「6月に出た本なのに今もランキング上位に入っている。ベスト20ぐらいまでで見ると、いつも入っていた印象がある」とビジネス書を担当する川原敏治さんは話す。「すばやく成果を出す」というのは仕事をしている人なら誰もが実現したいことだろう。そのヒントと土台となる心構えを知るには、手ごろな本になっているようだ。

入荷間もない新刊は『世界を変える100の技術』のみ

それでは先週のランキングを見ていこう。

(1)経営12カ条稲盛和夫著(日本経済新聞出版)
(2)限りある時間の使い方オリバー・バークマン著(かんき出版)
(3)「会社四季報」業界地図 2023年版東洋経済新報社編(東洋経済新報社)
(4)日経テクノロジー展望2023 世界を変える100の技術日経BP編(日経BP)
(5)超速で成果を出すアジャイル仕事術坂田幸樹著(ダイヤモンド社)

(八重洲ブックセンター本店、2022年10月9~15日)

1位は稲盛和夫氏の遺著。本欄では「カリスマ稲盛和夫氏の遺著 次代につなぐ経営の12カ条」の記事で紹介した。2位には、生産性や効率を追求する考え方から抜け出し、一度きりの人生を楽しむ方法を説く一冊が入った。3位は定番の業界研究ムックの最新版。ここまでの3冊は先月訪れたときもベスト5に入っており、売れ筋の変化が乏しい様子がわかる。4位の技術予測の最新版が9月半ばの刊行で、唯一出たばかりの新刊だ。今回紹介した仕事術の本は5位だった。

(水柿武志)

超速で成果を出す アジャイル仕事術 プロフェッショナル2.0という働き方

著者 : 坂田 幸樹
出版 : ダイヤモンド社
価格 : 1,650 円(税込み)

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