変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

デジタルチャレンジは、社内で選抜された20名が参加する8ヶ月間のプログラム。前半は座学で、データアナリティクスやAI(人工知能)、統計学などの基礎知識をインプットした。社内のデジタルマーケティング部門の担当者から、会社の中でのデジタル活用事例について解説を聞いたり、IBMの講師から統計学の基礎講義を受けたりした。

もともと文系で数学に苦手意識があり、内容は難しいと感じたが「完璧に理解できなくても概念や構造を理解し、何のためにデジタルを使うのかという意味合いがわかったのは大きな収穫だった」と振り返る。

プログラム後半ではデジタルを活用したリアルな新規事業提案を求められた。与えられたお題は「サントリーの資産を活用したファン化施策」。壮大なテーマに頭を抱えたが、町野さんのチームは最終的には、運送業界で働く人の熱中症リスクをデバイスを使って感知し、適切なタイミングで飲料を提供するというサービスを設計し、役員に答申した。

デジタルを学んだ後に実感した変化

デジタルについて体系的に学んだ後の変化について町野さんはこう話す。

「今の部署では調査の設計をすることもあるのですが、調査会社の専門家とも共通言語でしっかり意思疎通ができるようになりました。統計的に有意かどうかといったことも人の言うことをうのみにするのではなく、自分でデータを見て読み解けるようになり、学びが実務に生きていると実感しています」

日常業務を続けながらのリスキリングは決して楽ではなかったが「限られた時間の中で自分に負荷をかけ、短期間でぐっと成長できたことは自信につながりました。二つのプログラムを受けなければ今のポジションには就けませんでした」と町野さん。移動や隙間時間を活用しながら学ぶ習慣がつき、今も毎日、オンライン英会話のレッスンに励む。

「今後も、枠にとらわれない発想でサントリーのファンをグローバルに増やしていく仕事に貢献しつつ、リスキリングを続けていきたいと思っています」

前編『「学べ」では社員は動かず サントリー流社内コミュ術』

(ライター 石臥薫子)

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