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人生100年時代に向けた学び直しにも

人生100年時代に向けて、キャリアブレイクを取って学び直しに時間を充てたい人も出てきています。私の周りにも、MBA(経営学修士)など学位を取るために会社を辞めて大学院へ通う人は何人もいます。

ひと昔前であれば、思いきった行動をするのは20代の若手が主流でした。それが今やミドル以降の方が学び直しに熱心な印象があります。それも不思議な話ではなく、社会人になった頃から20年も経てば、求められるスキルや業界の動向も当然変わってきます。「与えられる仕事をずっとこなしているだけでは、取り残されてしまう」とリスクも感じているからでしょう。

リスキリングに熱心に取り組む企業もありますが、日本全体で見ればまだ一部の企業に限られています。今後のキャリアの布石を打つためにも、個人として学び直しに専念したい。人生後半に向けて、働き方や自らのキャリアを見つめ直したい。そうしたニーズから、キャリアブレイクを選択するのも理解できます。

むしろキャリアの中断が、人生をいきいきと過ごすための原動力となるならば、すてきなことではないでしょうか。

お笑い芸人の光浦靖子さんは、50歳で念願のカナダ留学を実現しました。今も現地から生活を楽しむ様子をSNSなどで発信されていて、その姿は魅力的に映ります。

一度きりの人生なのですから、ずっとやりたかったことをやってみるというのも、キャリアブレイクを選択する十分な理由と言えます。損得を行動の判断基準にするのではなく、目に見えない精神的な資産を育むことは人生にとって大事なことです。

そうは言っても、仕事を中断することは、これまでずっと働いてきた人にとっては、大変勇気のいる選択に違いありません。キャリアで成功してきた人にとっては、なおさらでしょう。しかし、私たちは仕事をするために生きているわけではありません。

キャリアブレイクを味方にして、人生を切り開く。そうした発想も人生100年時代だからこそ、大事になってくるのかもしれません。

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。グレース・パートナーズ株式会社代表。人事労務・社会保険面から経営を支援。多様で柔軟な働き方の雇用環境整備や女性の雇用問題に積極的に取り組んでいる。働き方やキャリア、社会保障などをテーマに多数執筆。

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