双子、主婦…強み生かす ウーマン・オブ・ザ・イヤー
coly中島瑞木さん・杏奈さん ドムドムフードサービス藤﨑忍さん
キャリアコラム
colyの中島瑞木社長㊧と杏奈副社長
思いを形にし、仕事で成果を上げるには何が必要か。女性誌「日経ウーマン」(日経BP)が選んだ「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022」を受賞した2組は、徹底的な議論や異色の経歴を自らの強みとし、事業に生かしてきた。
2人で「壁打ち」しながら事業を軌道に

colyの中島瑞木社長
大賞となったのは、スマートフォンゲーム開発を手がけるcolyの社長、中島瑞木さん(写真左、33)と、副社長、中島杏奈さん(33)だ。お気に入りのキャラクターを育成したり、恋愛関係を楽しんだりするゲームが国内外の女性の心をつかむ。直近5年で売上高は50倍に成長、21年2月に東証マザーズに上場した。
2人は双子だ。学生時代から共同で、中東諸国のニュースを発信するウェブメディアを運営していた。社会に対する問題意識からだが、閲覧数はふるわなかった。このとき「お客さんの心や感情を動かせるものってなんだろうと考えた」(杏奈さん)。そこでユーザー自身がストーリーを展開できるゲームに着目する。大学卒業後はそれぞれ証券会社と新聞社に勤めたが、退職しcolyを設立した。
代表作には魔法使いのキャラを育成し、世界を守る「魔法使いの約束」や、パズルを解きながら恋愛ストーリーを楽しむ「スタンドマイヒーローズ」がある。前者は9月時点で600万ダウンロード、後者は2月時点で300万ダウンロードを記録した。
複数のキャラから1人を選び、関係性を育てていくのがゲームの特徴だ。ストーリーを進める過程でユーザーとの信頼度が上がり、展開次第で新しいコンテンツを楽しめる。女性を中心としたファンがお気に入りキャラを「推し」と呼び、愛着を深めている。

colyの中島杏奈副社長
競争の激しいゲーム業界で、成果を上げ続けるために大事にするのは、徹底した議論だ。会社のビジョンは「もっと、面白く」。だが正解は一つではなく「人によりバラバラ」(杏奈さん)と考える。自己満足ではなく、誰からみても面白いゲームになっているか。熱意を持って議論できる人材こそがcolyの成長を支えてきた。
そうした「情熱のぶつかり合い」を生み出すのは考えや視点の違いだ。だからこそ多様性が必要とみる。女性向けゲーム開発という事業の特性もあり、社員に占める女性の割合は7割を超える。だがもちろん男性も、外国人やゲーム業界未経験者など多様なキャリアを持つ人も、積極的に採用する。
瑞木さんと杏奈さん自身も、双子として生活を共にする中で築いてきた信頼関係をもとに、常に議論を交わしながら事業を成長させてきた。瑞木さんはそれを「壁打ち」と表現する。