男性が「先生」占める日本 ADB駐日代表・児玉治美
ダイバーシティ進化論
ダイバーシティ以前この欄で「日本の女性は他国と比べても自信がなく、責任ある地位につきたい人は少ない」との調査結果を紹介した。背景に責任ある地位にもともと女性が少ないことがある。優秀な女性が見えるところにいれば、他の女性も頑張ろうと思える。女性管理職の割合を引き上げるなどの対策以外にも、女性のプレゼンスを高める方法はある。
例えばイベントに必ず女性の登壇者を入れることや、プロジェクトのチームリーダーに女性を登用することだ。ADBには「オール・メール(男性)・パネルの企画や参加は禁止」という内部ルールがある。外部のイベントに招かれた場合、登壇者に女性を少なくとも1人は入れてもらうようお願いし、かなわない場合には登壇をお断りするというものだ。女性の参加を組織の努力目標ではなく、義務とするのが画期的だ。
バランスの取れた議論には男女比だけでなく、多様なバックグラウンドや視点を持つ人たちを選ぶことが大切だ。多様性の尊重は新しいアイデアも生むだろう。もっともっと女性の姿が見える社会になってほしいと願いつつ、しばし日本を離れることにする。
児玉治美

アジア開発銀行(ADB)駐日代表。国際基督教大学修士課程修了。国際協力NGOジョイセフにて東京本部やバハマに勤務した後、2001年から国連人口基金のニューヨーク本部に勤務。08年からADBマニラ本部に勤務。19年5月から現職。途上国の子どもを支援するプラン・インターナショナル・ジャパン評議員。

[日本経済新聞朝刊2021年12月20日付]