慶応ラグビー部で知った不可能を可能に ロッテ玉塚氏
玉塚元一・ロッテホールディングス社長(下)
リーダーの母校ラグビー部の1年後輩には福沢諭吉先生のやしゃごで、TBSの敏腕ディレクターの福沢克雄氏がいます。彼は卒業後、いったん入った会社を退職。やっぱりクリエイティブの仕事がしたいとTBSに入り直し、「半沢直樹」など彼が手掛けた人気ドラマは数知れません。ラグビー部では同じフォワードで、彼のお尻を押すのが僕でした。
ローソンの社長時代に会長だった新浪剛史氏(現サントリーホールディングス社長)は大学の4年先輩で縁が深い。
知り合ったのは彼がローソンの社長、僕がファーストリテイリングの社長になった2000年代初頭です。当時、共に40代で、ほぼ同時期に社長に就任し「経営の若返り」ともてはやされたタイミングで、その後、食事をご一緒したり、新浪さん主宰の勉強会に参加させてもらったりするようになりました。
ファーストリテイリングの社長を退任後、僕は沢田貴司氏(現ファミリーマート副会長)と一緒にリヴァンプという会社を設立し、企業再生事業に取り組みました。その過程で、新浪氏から「ローソンを手伝ってくれないか」とお声がけいただき、リヴァンプを離れ、ローソン入りしたのです。ローソンで会長の新浪さんと僕が社長のコンビで仕事した時期は数年ですが、今もゴルフをしたり、食事したりする間柄です。
紳士のスポーツと呼ばれるラグビーは教育的要素も大きいと思っています。勝ち負け以上に、ベストを尽くすことが重要で、試合が終われば互いの健闘をたたえ合うノーサイドの精神もそう。そんなラグビーのカルチャーや精神が慶応の幼稚舎にもどこか流れている感じがしてなりません。
20代~30代の僕がまだ若かりし頃、慶応とか、ラグビーのことは忘れ、もっとアグレッシブにいろいろチャレンジしないとまずい、ともがいた時期もありました。でも今思えば、慶応という素晴らしい場で小学校から学び、ラグビーと出合い、たくさんの友人ができたことで、感謝の言葉しかありません。
(堀威彦)