変革の時代に必須の「共創力」 4方法で身につける
エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子
次世代リーダーの転職学これからのプロジェクト推進に欠かせない力
「共創力を発揮する」とはどういうことか。具体的には、次のようなステップを踏んでプロジェクトを推進することです。
・プロジェクトの目的に応じて、ふさわしい共創相手やメンバーを選定する
・プロジェクトの目的やゴールを明確にし、メンバー全員で共有する
・メンバーのモチベーションを高く維持するため、環境整備やムードメーキングを行う
・複数のメンバーの意見を調整し、全体をコントロールしながら目標達成へと近づけていく
私が企業から人材紹介の依頼をお受けするとき、「巻き込み力がある人が欲しい」と言われることがよくあります。目的やビジョンに共感してくれる仲間を集め、協力を得る力。これも、共創力の1つと言えるでしょう。
なお、こうした力が特に強く求められる職種・ポジションは「新規事業企画」「事業開発」など。「ビジネスプロデューサー」と呼ばれることもあります。
「価値創造」というと、クリエイティビティーが必須条件として求められると思われがちですが、そうとも限りません。必ずしも斬新な発想力やアイデアをゼロから生む力が必要とされるわけではないのです。
それよりも、社内外の経営資源である「ヒト・モノ・カネ」のうち、特に「ヒト・モノ」を組み合わせて、よりよく機能させることが重視されるようなケースもあります。
「共創力」を構成する要素をさらに細かく分解すると、次のような力が挙げられます。
・信頼関係を築く力
・「何のためにやるのか」という、目的・目標を明確に打ち出す力
・相手の立場を思いやり、相手の価値観を尊重する姿勢
・「仕組み」の構築力
・壁を突破していく推進力
共創力を発揮して活躍しているAさん(40代)の事例を紹介しましょう。マーケティング職として流通業界や運輸業界で経験を積んだAさんは、「地域活性化」に興味を持つようになり、独立。地方自治体や商業組合などと連携し、「町おこしプロジェクト」を手がけています。
地域の特性や課題は様々で、活性化させる手法も地域によって異なります。例えば、「企業や商業施設を誘致する」「観光地としてプロモーションを行う」「特産品を利用した商品を開発して全国へPR」など、いろいろなパターンがあります。
Aさんはプロジェクトの内容に応じ、行政、不動産デベロッパー、食品メーカー、旅行会社など、様々な業界や専門家に協力を仰ぎ、提携を結んでプロジェクトを推進しています。コアスキルである「マーケティング力」を生かしつつ、流通業界・運輸業界で身に付けた知識、人脈を活用し、プロジェクトを成功に導いているのです。