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2004年、東芝府中ラグビー部ブレイブルーパス(現東芝ブレイブルーパス東京)に入り、3年目からキャプテンとしてチームのトップリーグ連覇に貢献。12年、日本代表としては5年間のブランクがあったにも関わらず、名将エディー・ジョーンズ氏から「これまで出会った中でナンバーワンのキャプテン」として主将に抜てきされ、大きな話題を呼んだ。

慶応時代の広瀬氏(左から2人目)。キャプテンを務めたのは4年の時で全国大会は1回戦負けだった。それが社会人でもラグビーを続ける原動力になった

慶応時代の広瀬氏(左から2人目)。キャプテンを務めたのは4年の時で全国大会は1回戦負けだった。それが社会人でもラグビーを続ける原動力になった

中・高・大、社会人、日本代表とずっとキャプテンを経験してきたので、リーダーはどうあるべきかといった質問をよく受けます。僕自身が大切にしていることは3つあります。1つ目は自分自身がどんな人間で、どんなチームを作りたいと思っているのかをきちんと発信することです。それが周りの人にもちゃんと伝えわらないと、みんなどうやってそのリーダーについていったらいいのか、どうサポートすればいいのかわかりません。

それを体感したのは東芝時代です。キャプテンになった最初のシーズンは前任の名キャプテン、冨岡鉄平さんのスタイルを引き継ごうと意識してしまいました。「こういう時、元キャプテンならどう言うだろう」などと考えてしまい、思うような結果も出せずに悶々(もんもん)としました。この時、チームのメンバーから「リーダー不在だった」と言われて初めて自分らしさを失っていたことに気づきました。そこで2年目には自分の言葉で自分が思ったことをきちんと伝え、みんなの話も聞きながらチーム作りに取り組みました。そうすると自分もメンバーも楽しむことができ、その年のトップリーグ優勝につながりました。学生時代と違ってトップリーグでは自分よりキャリアがある選手、技術の高い選手、海外から来た選手などがいますから、キャプテンには選手一人ひとりをよく知り、言葉で相手を納得させる能力が必要なのだと学びました。

大事にしていることの2つ目は言っていることと、やっていることを一致させることです。そうじゃないと誰も信じてくれなくなります。3つ目は、自分を完璧と思いすぎずに周りの人を信じることです。人間なんだから凸凹でいい。あいつが足りないところを埋めてあげようと思ってもらえる方がいいし、周りの人は自分とは異なる視点を持っているのでそこをいかに信頼するかがカギとなります。

選手生活の最後は試合に出られないことも多く、悔しい思いもたくさんしましたが、逆にベンチを温めるメンバーや裏方のスタッフの思いを知ることができ、人としての幅は広がったと思います。15年のW杯も試合には一度も出ることができませんでしたが、日本ラグビーの歴史を変えるんだという強い思いで、自分にしかできない役割を果たそうと盛り上げ役に徹し、実際やり切ることができました。

16年3月に現役を引退。同年10月からビジネス・ブレークスルー大学(BBT)大学院で学び経営管理修士(MBA)を修了。自身の会社HiRAKU(神奈川県藤沢市)を立ち上げた。

引退を機に何か学びたいという気持ちが強まりました。経営者と話す機会も多く、ビジネスについて自分も深い話ができるようになりたかったのと、スポーツ選手が引退した後のロールモデルを示したいという思いもありました。BBTを選んだのは、知り合いがいたのとオンラインが中心でいつでもどこでも学べるのがよかったからです。

受講生にはいろんな業界の人がいて、会社の役員クラスの人から20代の若手まで年代も立場もさまざま。海外から参加する人もいて、いままでにない刺激を受けました。講師はアカデミックというより、実際経営者として日々リアルな実践を積み重ねてきた方々なので、本当に面白かったですね。今の時代、スポーツ選手に限らず、越境して学ぶことは誰にとっても必要なことだと思います。自分が普段見ている範囲に収まってしまっていたのでは発想も限られてきます。

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