「50億調達して」 ベンチャー移籍で劇的リスキリング
myリスキリングストーリー新規事業のスキルを身に付けた
まず、仕事に対する態度面。「ベンチャーに行く前はどちらかと言うと保守的で、同じ会社で1つのことをやり続けたいタイプでした。でも、レンタル移籍後はリスクを取って新しいことを手掛けたくなりました」
そしてスキル面。電池の技術を深めることに没頭していたパナソニック時代からは打って変わり、小規模なベンチャーでは営業、展示会での商品説明やデモ、事業計画まで何でもやった。結果として、事業を創出していくスキルを身につけることができた。
レンタル移籍を終えた人は通常、元の部署に戻る。しかし、落合さんの場合、所属していた部署がレンタル移籍中になくなってしまった。「古巣がなくなるのは想定外でしたが、せっかくなのでベンチャーで学んだことを生かせる新規事業に携わることを希望しました」
パナソニックから、BeeEdge(ビーエッジ)というスタートアップを支援する会社に出向し、現在もそこで活躍している。ホームページをのぞくと「やってみなはれ Try! Try! Try!」と書かれていた。

BeeEdgeで仕事する落合さん
落合さんによると、BeeEdgeが投資している会社が3社あるといい、1つはチョコレートドリンクをつくる会社、もう1つは嚥下(えんげ)が困難な人向けの調理機械の製造会社、そして、介護用の歩行リハビリマシンをつくる会社。この3社と事業やプロダクトをつくることが、落合さんの現在の仕事だ。
落合さんは、「ベンチャーに行く前は、今のようなキャリアパスを歩むことは全く想定していなかった」と話す。「レンタル移籍は、大企業の中で頭が凝り固まってしまっている人にこそおすすめ。自分のやり方では通用しないことを痛感させられる」
違う環境に置かれることで新たな仕事の方法を見つけることができ、メンタルも格段に鍛えられる。わからないことを恥ずかしがっている余裕がないので、どんなことからでも学ぶようになる。レンタル移籍はこれから有効なリスキリングの手段になっていくのではないだろうか。
(桜井陽)