テレワークで浮いた3時間、雑談不足は「専用部屋」で
技術者の働き方ホントの話セレクション
岡山さんの場合、浮いた時間は主に部下とのコミュニケーションに費やしています(写真はイメージ)=PIXTA
2020年、多くの企業が手探りで導入し始めたテレワークも、2021年にはだいぶこなれてきました。そして2022年になり、テレワーク前と現在の生産性を比較して、今後もテレワークを継続すべきかどうか判断する企業が増えてきています。
筆者もさまざまな企業や従業員の話を聞きますが、テレワークにはメリットとデメリットの両方があると感じます。しかし、そのメリットを存分に生かしてデメリットをカバーしている人もいます。筆者の知り合いで、ソフトウエア企業でプロジェクトリーダーを務める岡山さん(仮名・40代)の話を紹介しましょう。
岡山さんは、テレワークがとても性に合っています。彼いわく、「テレワークで労働生産性が高まったという話をいろいろな企業で聞くが、単に無駄が減っただけだろう」。仕事にかかる時間は変わらないが、通勤や会議場所への移動、職場での長い無駄話など邪魔な時間が減った分、自身の仕事は格段に早く終わるようになったといいます。
岡山さんは新型コロナウイルス禍以降、月に1度しか出社していません。もともとの要領の良さもあってか、テレワークになっても仕事には全く影響が出ていないといいます。会社からも在宅勤務を推奨されているし、取引先もほとんどがテレワークを実施中。必要なコミュニケーションはオンライン会議で済ませられるため、出社する理由がなくなってしまったそうです。
1日あたり3時間ほど時短に
テレワーク実施後、岡山さんの日常は大きく変わりました。まず片道1時間、往復2時間かかっていた通勤がなくなりました。これだけで、精神面・体力面で大きく負担が減りました。
さらに、同僚とランチに行くといったこともなくなりました。昼食代もかからなくなり、月に3万円ほど出費が減りました。これも岡山さんにとっては歓迎すべきことでした。
会いたくない上司ともオンラインで会話をするだけ。オンライン会議では雑談も減り、急に話しかけられることもなくなります。
集中して考えごとをしているときに上司に話しかけられて思考が止まり、そこから頭の中を元の状態に戻すまでに30分~1時間かかるという経験は誰にでもあるでしょう。それがなくなったうえ、元来真面目な性格の岡山さんの仕事は大幅にスピードアップしました。出社していたときに8時間かかっていた仕事が5時間くらいで終わってしまいます。
休憩時間などを除いた就業時間で考えると、午前9時から午後5時までかかっていた仕事が、午後2時に終わる計算です。仮に毎日午後2時に仕事が終わるとすると、職場に対する印象やプライベートの考え方もずいぶん変わるのではないでしょうか。
岡山さんの場合、浮いた時間は主に部下とのコミュニケーションに費やしています。毎日1時間開設しているのが「岡ちゃんの部屋」というオンラインのミーティングルームです。