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インターネット時代のルールのあり方は

本書でとくに目を引くのは第2章と第4章でしょう。第2章では米国で築き上げられた株式を売買する証券取引所のルールの形成と、今でいうインサイダー取引の規制などの歴史が述べられています。第4章では自動車産業の成り立ちと、それに反発、抵抗する既存の馬車事業者との対立軸が鮮明に描かれています。

高校の教科書では通史的に描かれがちだった世界史ですが、本書では個々のテーマごとに、ルール・法律という視点で歴史を切り出しており、読み応えがあります。とくに最近のインターネットに関する技術の進化、サービスの多様性を踏まえ、ルールがさらに複雑に入り組んでいる事情が解説されています。

インターネット以前のビジネスの主役は、製造業でした。製造業は、大規模な設備投資が必要であり、開発から製造を経て、売上が安定するまでに時間がかかりました。そのため、国は、自国の製造業の育成のために、さまざまなアシストをしました。生まれたての製造業は、安価な外国製品に対抗できないことも多いことから、外国製品には高率の関税をかけました。
これに対し、インターネットでのビジネスに必要な開発費は、製造業に比べると小さいものであり、しかも不完全な状態でもとにかく始めて、徐々にバージョンアップすることが可能でした。(中略)
ネットワーク型ビジネスのためのルールメイキングは目的が違います。このルールメイキングのためには、規制緩和が必要なこともありますし、ネットワーク型ビジネスに対応した規制をあえて作るということもあります。
このようにして、各国は、ネットワーク型ビジネスを推進するために、ルールメイキング競争をする次代となっていきました。
(Chapter6 インターネットがルールメイキングを変えた 224~226ページ)

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