変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

テクノロジーからの提案もよく見られます。これも戦後の高度経済成長期の思想を引きずっています。

「いい性能のものをつくれば売れる」という時代がかつてありました。それは経済成長が右肩上がりで人口も増え続けたから通用したモデルです。そもそも、現代ではインターネットの普及や所得の伸び悩みで多くの価値観がさまざまに生まれ、「いいもの=技術力が高いもの」ではなくなりつつあります。

とりわけ、女の子は先端のテクノロジーを必ずしも求めていません。スマホのカメラにしても、とにかく高性能のカメラを求めているわけではなく、かわいく写るカメラを求めています。女の子は変化を常に求めていますが、進化は必ずしも必要としていません。

進化ではなく「変化」を求める

残念ながら、いいものさえつくれば売れる、というのは「昭和の発想」と思ってもいいかもしれません。

冒頭でも言った、「女の子が本当に欲しいと思っているか」というのは私たちにとってもとても大切な考え方で、商品開発から出荷してユーザーの手に届く場面まで、いちばん意識し、気にかけている部分です。まさに「女の子が求めているかどうか」ことを考え続けることが大切です。

マーケティングでいうと、市場の意見を聞いてそこから商品をつくるという「マーケットイン」の考え方とも言えますが、しかし、そこにはプロの目線で商品をつくるという「プロダクトアウト」の視点も大切です。ユーザーが欲しいものをつくりつつ、しかし、プロの目線から新しい提案をしつづける―。それができたら売れる商品になると思いませんか?

そのためにいちばんいいのは、「女の子の視点を持つ」ことです。自分の心の中に、ターゲットとなる女の子がいれば、商品の企画・開発から販売までプロの目線と合わせ進めやすくなります。

常に時代をつかむ努力を

「本当に消費者がこれを求めているのか」という問いは、部署ごとに役割が細分化していたり、これまでの進め方を変えることが難しかったりと、本質を覆い隠すことが多い現代では忘れがちです。

また、商品づくりは、常にユーザーと向き合い、自分の頭で考え続けなければならないので、休みのない、大変な作業です。でも、女の子向けの商品はそこからしか生まれてきませんし、心の中に女の子がいれば――つまり、一度感覚をつかんでしまえば、それほど難しいことでもありません。

どんなにいい商品やサービスでも、世界最先端のテクノロジーを搭載した商品でもそもそも求められていないものは受け入れられません。現代で忘れてはいけないのは、すでにモノがあふれており、そこから選ばれるということ。これは、女の子がターゲットの商品以外でも、性別や年齢を問わず、あてはまる大原則です。

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