42歳からの危機対策 小さなビジネスを自分でつくる
ミドル世代専門の転職コンサルタント 黒田真行
次世代リーダーの転職学転職も起業も難しいという人の備え方
しかし、いくら今後のキャリアに不安や危機感を感じていたとしても、「今さら新しいスキルを学ぶのはおっくうだし、時間もお金もかけられない」という人のほうが圧倒的多数を占めています。
ミドル世代が置かれている状況について、企業間の人材出向を仲介するローンディール(東京・港)の最高戦略責任者で、フリーのビジネスデザイナーでもある細野真悟氏は以下のように語ります。
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「ミドル世代のキャリアクライシスには、有効な解決策が本当にありません。たとえば転職で危機を回避できるかと考えてみると、自分の会社の中ですら活躍の場がなくなっている人が、同じような給与待遇で転職して安泰な立場を得られるとは考えにくい。『大手企業から中小企業への転職ならいけるんじゃないか』と思う人もいますが、大企業しか勤めたことのない50代の人が、いきなり単身で中小企業に行って活躍できる可能性は低い。
じゃあ、最近はやりの『副業』はどうか。はっきり言って、普通の50代文系ビジネスパーソンのキャリアの保険になるほど稼げるような副業ネタは存在しません。副業で代表格の職種、たとえば、プログラミング、ウェブデザイナー、イラストレーターは、立派な本業職ですし、コンサルタントや講師なども専門性が確立されていて初めてできる仕事です。(動画共有サービスの)ユーチューブや転売、(インターネットのサイト形式で商品を紹介する)アフィリエイトや情報商材の販売などは、やる気にすらならない人のほうが圧倒的に多いはずです。
フリーランスで小さく起業するのはどうでしょうか。欧米のように、日本でも今後フリーランス人口は増えるのではないか。これからはプロジェクト型の仕事が増えるから、社員だけじゃなくて社外の業務委託の人も含めてコラボレーションすることが求められるんじゃないか。
評論家的に言えば正解かもしれませんが、働く個人として考えると、フリーランスのほうが顧客から直接、かつ継続的にお金をもらい続けるのは圧倒的に大変です。自分が働けなくなったら1円もお金が入ってこないリスクもあります。だったら役に立たないと思われても会社にしがみつくほうが収入は安定します」
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なかなかにシビアな意見です。しかし、好き好んで「会社にしがみついて」生きていきたいと望む人などいないはずです。だからと言って、ただ指をくわえて時間だけ経過しても、何ひとつ状況は改善しません。
そこで細野氏が提唱するのは、「キャリアの保険」に加入して備えるという方法です。「キャリアの保険」をさらに具体的に言うと、それは、現在の仕事を続けながら、自分でビジネスを生み出す力をつけることです。以下は再び細野氏の言葉です。
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「キャリアの保険とは、誰かのビジネスのお手伝いをするスキルワーカーではなく、自分でビジネスを創り出すビジネスプロデューサーになることをめざすサービスです。そしてそれをイチかバチかの大勝負としてではなく、会社を辞めずに続けながら、自分で生み出したビジネスで顧客からお金をいただくことを意味しています。
大企業という既に成功したビジネスのほんの一部を担ぐという働き方を10年以上一生懸命やってきたら、そこからは、自分自身でビジネスを生み出す練習をするんです。
多くの皆さんはビジネスを難しく考えすぎです。また、ビジネスを立ち上げるのにとんでもない先行投資が必要だった時代の印象を引きずっていることも多い。自分でビジネスを立ち上げるにはこうあらねばならないと考えているイメージそのものが大きく間違っています。たとえば、こういうようなことです。
・一発目で成功しようとする
・もうかるビジネスを目指さないとダメだと思い込んでいる
・自分一人ですごいビジネスモデルを思いつこうとする
・小さく実験をしないでいきなり大きく仕掛ける
私はこれらをすべて逆にすることをお勧めしています。
・一発目で成功しようとしないで、長期で何度も何度もチャレンジする
・売り上げは年商1000万円程度を目指す(競合の少ないスモールビジネス)
・プロに一緒にビジネスモデルを考えてもらう
・まずは小さく実験をしてみる(たった1人の顧客に売ってみる)
上記のやり方でビジネスを立ち上げる訓練をするお手伝いをしています。
共済型ビジネス実践ファーム「Fukusen」(https://fukusen.org/farm)というサービスで、プロのビジネス伴走を受けられるというスキームを作りました。もしよろしければぜひのぞいてみてください」