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「一度も会わずに退職」が起こり始めている

企業にとっては、オンライン化を部分的にでも進めることで、今までは自社への応募すら考えなかった人が採用面接に臨み、入社してくれる可能性があります。さらに入社後も自分の好きな場所に住んで働けるとなれば、自社の魅力はより高まるでしょう。

一方で、採用選考もオンライン、入社後もテレワークとなると、本人との人間関係をどのように構築するかは重要なテーマです。実際、入社した人が一度も対面で会うことなく退職していくケースが筆者の周囲でも起こり始めています。先日も「一度も会わずに退職かよ」と嘆く管理職の声を聞きました。

この流れは止まることはないでしょう。今後は「一度も対面で会わない部下」を育成・管理する能力が管理職に求められるということです。オンラインで出合い、オンラインだけで仕事を進めることを前提にしたマネジメントスキルを磨く必要があります。

もちろん、現場にいなくては仕事ができない業務はありますし、それを働き方改革の遅れというつもりは全くありません。ただし今後少子化がさらに進む中で、採用の母集団は新卒・中途ともに減っていきます。その中で人材を獲得するために、テレワークやオンライン面接は強力な武器になると思います。

2023年4月の新入社員は、高卒であれば3年間、お昼は「黙食」を強いられてきました。修学旅行や体育祭などのイベントも大幅に制限されたまま高校生活を終えています。大学生も、学内イベントやアルバイトの機会減少など、リアルに人と接する機会はかなり抑制されてきました。

こんな経験をしている新入社員にとって、オンラインはもはや当たり前。むしろ出社する必要性やメリットをどう伝えるかが問われるようになるでしょう。

天笠 淳(あまがさ・あつし)
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。
[日経 xTECH 2022年9月22日付の記事を再構成]

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