正解のない時代のキャリア戦略 13の実践的方法とは
『キャリアの悩みを解決する13のシンプルな方法 キャリア・ワークアウト』より
ブックコラム読書で感性を刺激し、未知の世界を楽しむ
田中さんは、持続的な行動を起こし、生涯を通して学び続けることでたまっていく知識やスキル、ネットワーク、資産などの総体を「キャリア資本」と呼ぶ。そしてチャレンジを繰り返しながら「キャリア資本」を戦略的に蓄積していくことが、正解のない時代を生き抜くためには欠かせない。
では、日々の生活の中で「キャリア資本」をためられる方法はあるのだろうか? 田中さんは、誰でも取り組めるシンプルな方法の一つとして、「読書」を挙げている。
「ビジネスリテラシー(知識・理解力・論理的思考力など)を向上させる読書も、『キャリア資本』を蓄積する方法の一つです。月に2冊以上読むことを推奨しますが、何を選んでいいか分からなければ、まずは『売れている本』を選んでください。『売れている=多くの人の関心を集めている』ということなので、『今月のベストセラー』を読むことは、『今月の社会の関心』を読むことと同じです」
「ただし、これは『売れている本だけを読んでいればいい』ということではありません。大切なことは、『世の中ではやっていることは何か?』ではなく、社会の関心事を理解した上で、『自分がこれからどうしたいのか』を考えることです」

『キャリアの悩みを解決する13のシンプルな方法 キャリア・ワークアウト』著者で、法政大学キャリアデザイン学部教授の田中研之輔さん
また、「仕事で必要な知識に関連する書籍だけでなく、自分の興味とは離れたジャンルの本を選ぶことも重要」だと、田中さんは指摘する。
「変化に適応していくためには、『未知の世界を楽しむ力』も大切です。あえて自分の興味関心とは離れたジャンルの本を選び、未知の領域の中からアンテナに引っかかる本を見つけてみましょう。感性を刺激することで、仕事に生かせるアイデアが湧くこともありますし、何より未知の世界に踏み出している自分にワクワクすることができます」
「読むときには、『著者に会えたらどんな感想を伝えるか?』と考え、コメントを練ってみると、その本からのインプットが明確になり、知識が定着しやすくなります。また、その本がベストセラーならば、なぜその本が売れているのか自分なりの仮説を立てながら読むと、社会の変化をいち早く感じ取る思考のワークになります」