スーパー看護師は不要 フラット組織で挑む訪問看護
リカバリー・インターナショナル社長 大河原峻氏
キャリアコラム
「チームでフォローし合うことでより多くの人に安定した看護を提供する」と話す
年功序列の昔ながらの看護職場
「看護師の世界は、変化よりも安定を好むきらいがある。当時、勤めていた病院は、院内に明確なヒエラルキーがあり、年功序列の傾向が強い印象を持った。向上心が人一倍強かった私は、積み重ねてきた努力に対して期待していたような結果にならないことも多く、努力しても報われない、そう感じていた」という。静岡県出身の大河原さんは地元の看護専門学校を卒業後、県立病院に公務員として就職した。
外科病棟の担当看護師になりたかったが、手術室担当として配属された。自ら勉強して、異動したいと何度訴えても実現することはなく、なかなか努力が実ることのない日々にもどかしさを感じた。5年間勤務した後、評判の高い沖縄県の私立病院に移ったが、年功序列の染み付いた職場であることに変わりはなかった。
病院勤務の看護師は土日や夜間勤務が当たり前で、厳しい労働環境の割には報酬が高くないといわれる。しかも「上下関係に厳しく、派閥など人間関係も複雑な職場」(50代の看護師)という声も少なくない。看護師の資格保有者は200万人近いと言われるが、実際に看護師として働くのは6〜7割程度。働き方改革により一般企業の職場環境は改善が進むが、いまだに病院の職場は旧態然としているようだ。
だが、欧米など先進国の看護師の職場は環境も待遇も大きく異なる。大河原さんは「外国の看護師の実情を知りたい」と海外放浪の旅に出た。訪れたオーストラリアの病院でボランティアをしたとき、看護師の役割の違いに驚いた。病院は徹底した分業制。看護師はマネジメントとして、看護助手を回すのが仕事。成果が客観的に評価され、専門性を生かしてキャリアアップする形が確立していた。若手でも年収は800万円を超す。日本の看護師との違いにギャップを感じた一方、自分が目指すべきところではないと感じた。