転職失敗者の応募数は3社以下 動く前に考えるべきは
20代から考える出世戦略(121)
プロが明かす出世のカラクリ失敗しやすい転職は「良い会社」を探してしまうこと
では最初の転職を成功させ、キャリアをあらためてスタートさせるためには、どんな準備をすればよいのでしょう。
まずよくある転職活動の例を示してみましょう。
今いる会社で何らかの不満が生じたのち、数ある転職支援会社に登録を考えます。ただ、その時点ではあまり積極的に転職を考えてはいないので、転職支援コンサルタントとの面談でもあいまいなことしか伝えられず、すぐには転職先を紹介されません。
そこで、求人情報を検索するサービスを使い、まずはどんな会社が今求人をかけているのかを探してみます。様々な希望条件を入力してゆくと、意外な会社、意外な条件なども出てきます。そんな中で気に入った会社があれば応募してみることになります。
応募したのちに書類審査が始まりますが、ここでたいていの人は落ちることになります。というのも、自分の経歴がその会社に合っているかどうかまでは判断していないからです。その結果、少し自信が失われてしまうので、転職意志が縮小してしまうこともあります。そうしてたびたび応募を繰り返してゆく中で、やがて書類審査に合格します。
こうなるとあとは、何とか次の面談で認められたい、という思いばかりが募り、本当にその会社が自分にあっているのかどうか、という観点が薄れてしまいます。
結果として、いざ転職してみたものの、失敗だった、ということにもなりかねません。
では最初に何から始めるべきなのでしょうか。
不満の源泉を自分に置いてみる
失敗しやすい転職は「転職」そのものを目的とすることに起きやすくなります。転職そのものが目的だとそれがゴールになってしまうからです。
しかし転職とはゴールではなく再スタートであり、現状を踏まえたキャリアの延長に他なりません。だとすれば持つべき視点は良い会社を探すということではなく、どのように自分のキャリアを構築していくかという視点です。
最初に入った会社でうまくいかないとき、不満の解消を考えることはごく自然なことです。その際に、もう少しだけ踏み込んで考えてみましょう。なぜ今が不満なのか、ということだけでなく、どんな状況に満足を感じるのか、ということです。
たとえば上司との相性があわず、日々会社に行くのが嫌になったとします。
こんな時に陥りやすいのは「上司が嫌な人だから」という他責での不満です。けれども果たしてそうでしょうか。
仮にその会社が毎年100人採用して99人が離職するようなひどい会社であれば、上司だけでなく会社側全体が良くないから、ということは言えるでしょう。
しかしまっとうな会社で上司になっている人というのは、それなりに実績があったり能力的に認められたりしているからそこまで昇進しているはずです。
だとすれば「なぜ自分は上司が嫌なのか」と考えてみなければいけません。
もしこのような質問を第三者から問われ、そこで答えるとなるとなかなか本音をいいづらいでしょう。しかし、自分で自分に問うてみるくらいなら、本音で答えられるはずです。
私が聞いた例では、本当に上司が嫌いな理由として以下のようなものがあります。
「これまで自分は優秀だと思って、見た目も意識してきた。今の上司は風采もあがらないしょぼい人に見える。けれどもその上司に仕事で全くかなわない。自分の価値観すべてを否定された気持ちになるから上司が嫌だ」
「上司からの指示がいちいち細かく感じる。それは私が、人に指図されることが嫌な人間だからだ。考えてみれば、これまでは偉そうに指図する人とは距離をとってこれた。会社だとそうはいかないことを知った。他の会社でも同じかもしれないけれど、とにかく今は逃げ出したい」