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不満を前向きな理由に置き換えてキャリアの錨をおろす

こうして不満の理由を自責で考えてみると、では自分がどのようなキャリアが嫌で、どのようなキャリアを望んでいるのか考えやすくなります。

不満の源泉が高すぎるプライドや自分の性癖にある場合、自分を改善して周囲にあわせていくか、あるいは自分にあったキャリアを探していくか、という2つの選択肢を考えなければいけません。

自分のプライドや性癖が本当に良くないものならそれは改善した方が良いでしょう。しかし20歳を超えた大人が一朝一夕に自分の好き嫌いを変えるのは難しいかもしれません。だとすれば、まずは自分に合ったキャリアを探していくことも考えてみるべきです。

その際に考えてみてほしいフレームワークの一つが「キャリアアンカー」です。アンカーは錨(いかり)を意味する言葉で、MITスローン経営学大学院の組織心理学者エドガー・H・シャインによって提唱された、一人一人が重視するキャリアの方向性です。

8つあるキャリアアンカーは次のようなものです。

・「専門性」を獲得し、生かしたい
・「出世」したい
・「安全・安定」が最優先
・「新しいもの」を作りたい
・「自由」でいたい
・「社会貢献」がしたい
・「プライベート」を大切にしたい
・「チャレンジ」し続けたい

不満から考えてみて、自分自身でその原因を探してもらいましたが、不満を前向きに捉えることも可能なはずです。たとえばこれまでの自分の努力と同じ方向性を重視するのなら「新しいもの」や「プライベート」がキャリアアンカーになるかもしれません。指図が嫌だということは「自由」や「チャレンジ」がキャリアアンカーなのかもしれません。

そうして、自分が目指したいキャリアをぜひ考えてみてください。

そうすれば、相談に乗る側も、しっかりとした検討ができるようになります。

決して不満から逃れるための、焦った転職はしないように気を付けましょう。

 平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。

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