ジェンダー平等、成果公開を ADB副官房長・児玉治美
ダイバーシティ進化論
ダイバーシティ3月8日は国際女性デーだった。日本でも様々なイベントが開催されたが、私が住み、働いてきた米国やフィリピン、アジア開発銀行(ADB)では3月を「ジェンダー月間」として1カ月間ジェンダー平等に関するイベントを行うのが当たり前だ。1日だけの日本では物足りなく感じる。
国際女性デーの起源は100年以上前に遡る。1世紀もたつのだから、1日や1カ月と言わず、一年中ジェンダー平等について語れる時代になってほしい。
英語で「成果が測れることは必ず成し遂げられる」という格言がある。アジア・太平洋の途上国の開発を支援する国際機関であるADBでは、成果フレームワークという評価システムを持ち、全ての活動に詳細な目標設定を行う。ジェンダー分野では「2030年までに全プロジェクトの75%にジェンダー平等を推進する要素を盛り込む」という野心的な目標を掲げ、毎年成果を発表する。18~20年の実績(平均値)は89%で、すでに目標を上回った。
ADBのプロジェクトの恩恵として、20年の1年間で、上下水道の整備や電気の普及などでおよそ100万人のアジアの女性や女の子が家事に費やす時間を減らせた。31万7千人の女性が熟練労働の職に就き、6万7千人の女性や女の子が教育や訓練を修了できた。
コロナ禍でADBは20年に約250万人の医療従事者の収入や保険の待遇改善を支援し、そのうち154万人は女性だった。中小企業を含む440万事業にコロナ対策支援を行ったうち140万事業は女性が経営・主導する中小企業だった。

写真はイメージ=PIXTA