廃棄PCからスパコン製作 渋幕が育んだ東大の異才
ニューススクール
渋幕高校で廃棄PCからスパコンを製作した大屋さん
男女共学の進学校として全国トップクラスの実績を上げる渋谷教育学園幕張中学・高校(千葉市)。新たな異才が飛び出した。大屋孝輔さんは、渋幕時代に廃棄パソコン(PC)からスーパーコンピューターを製作。2022年春、東京大学に推薦合格を果たした。廃棄物をリサイクルしてスパコンに。しかも製作費はわずか20万円。環境共生型社会をけん引する次世代リーダーの素顔に迫った。
中学でスパコン製作の衝動、校内で使用済みPC発見
「安価なスパコンを作れないか」。大屋さんは、中学2年生の時に東大でスパコンの技術を紹介する特別講座に参加、自分の手で高速計算器をつくりたいという衝動に駆られた。
スパコンは「並列型」が主流で、多くのマイクロプロセッサーを接続して演算処理する仕組みだ。温度管理を徹底した大規模な屋内施設が不可欠で、多額の資金が必要となる。普通の中学生ならここであきらめるだろう。
しかし、校内であることに気づいた。使用済みの大量のパソコンが存在したのだ。学校側の許可を得て手に入れた廃棄パソコンは50台。だが、単純にCPUなどの部品を取り出し、つなげれば、スパコンが完成できるわけではない。
1年余り、大屋さんは専門書などを読みあさり、研究に没頭。基本的な構造を理解し、製作のプロセスを描いた。しかし、スパコンは1人で作れるモノではない。