「女子御三家」に並ぶ豊島岡、滑り止め校が理系で飛躍
豊島岡女子学園中学・高校の竹鼻志乃校長に聞く
学校のリーダー中学に入学した全生徒にクラブ活動への参加を義務付けている。ここで先輩や同級生とのつながりを深める。コーラスや書道、囲碁の各部は全国トップクラスの実績を上げている。
もちろん基礎学力向上の仕掛けも万全だ。中1から高3まで月例テストがある。月に1度、朝のホームルームで漢字や英単語など5分テストを実施、合格点に達しなければ、始業前に追試。駄目ならまた追試だ。「小テストだが、基礎が身につく効果的な学習法だ」。

竹鼻校長は「女子校っぽくない」と語る
豊島岡名物として知られるのが毎朝5分程度の「運針」。裁縫の学校の伝統を引き継ぐ授業前のルーティンだ。「これで意外なほど集中力を高められる。無心になれると、入試本番の朝にやる生徒もいる」という。
キャリア教育にも熱心だ。中2の生徒全員が卒業生インタビューを実施。今年は医師や弁護士などの卒業生107人が協力してくれた。グローバル教育にも取り組む。竹鼻校長は家庭の事情で教員時代に2年間休み、米国の大学に留学した経験がある。「いい刺激を受けた」と生徒の海外研修に力を入れる。
22年度から完全中高一貫校に
豊島岡はJR池袋駅から徒歩7分程度の好立地にある。首都圏1都3県から生徒を集められたのも飛躍の背景にある。同校には通学時間制限がない。「群馬や栃木、茨城など北関東や静岡から新幹線に乗って通学する生徒もいる」という。かつては難関校の併願校だった豊島岡は今や、「第1志望の生徒が70%程度に上昇した」という。
女子のトップ進学校に仲間入りした豊島岡は次の挑戦に踏み切る。2022年度から高校入試の募集を停止し、完全中高一貫校になる。これまで1学年の定員は中学が240人、高校は330人だった。高校入試を停止すれば、生徒数が90人も減るため、経営面のマイナスや一時的に大学合格者数が減る懸念はある。しかし、進学校独自の先取り授業も進めやすくなり、生徒全体の質向上につながる。この四半世紀で最も伸びた女子校と言われる豊島岡。新たな成長の時を迎えている。
(代慶達也)