キーエンス出身者が説く 付加価値をつくり出す仕事術
三省堂書店有楽町店
ビジネス書・今週の平台同時に、すべてのことを、すべての人が
第3章で付加価値創造企業としてのキーエンスの組織の構造をひもといていく。同社が大切にしているのは「最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる」という考え方。そこから①マーケットイン型②高付加価値状態での商品の標準化③世界初・業界初の商品――という3つのキーワードを引き出し、キーエンスの付加価値創造の構造を解説する。他社との決定的な違いは、その構造化を徹底し、再現性を目指して「同時に、すべてのことを、すべての人がやっている」ことだと著者は指摘する。
こうした付加価値創造のしくみ・構造を前提として、法人顧客に対する付加価値のつくりかたを個人・組織としてどう実現していくかを具体的に説いていくのが後半の3章だ。営業の重要な役割はお客様の成功につながる情報を提供することという指摘や、顧客ニーズを理解する上での現場の重要性など、付加価値をつくる上でのポイントを順を追って解説される。
「先行販売で入荷した最初からよく売れ、版元の人も期待を上回る売れゆきと話していた」と同書店でビジネス書を担当する沢柳由香さんは話す。生産性向上が日本企業の大きな課題となっているだけに、そのヒントを高収益と高い平均給与を実現しているキーエンスに見いだしたいと考えるビジネスパーソンが多いようだ。
リンダ・グラットン氏の新著が5位に
それでは先週のランキングを見ていこう。
1位は生涯成約率97%という営業のプロが営業の心構えや行動を説いた本。今回紹介したキーエンス出身者による仕事術の本は2位だった。3位チャター、すなわち頭の中のひとりごとをコントロールして集中力や判断力、創造力を発揮する方法を解説した翻訳書だ。4位は『学びを結果に変えるアウトプット大全』がベストセラーになった人気精神科医の新著で、「言葉にすれば悩みが消える」ことを説いている。5位には『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』のリンダ・グラットン氏の新著が入った。
(水柿武志)