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ジョブ型人事制度は自発的キャリア形成に向いている

ジョブ型人事制度が導入された際には、自分自身の職務記述書内容を確認するだけでなく、自分の上司や、自分が活躍したいポストの職務記述書もしっかり読み込んでください。

そこに書かれている内容が、そのポストにふさわしい人材を選ぶための基準となっているからです。

それを知ることで、自分自身のキャリア形成を自発的に行いやすくなります。

ジョブ型人事の対義語として使われるメンバーシップ型人事制度では、自発的キャリア形成はとても難しいものでした。

特定の部署で専門性を伸ばしたいと思っていても、会社都合での異動や転勤が命令されます。

自己申告制度などで異動希望を出したとしても、希望が通るとは限りません。ある会社の人事部で本当にこんな話を聞きました。

「自己申告における異動希望者は異動させません。むしろ異動拒否者を異動させます。そのことによって忠誠心を測れるからです」

住宅ローンを組んで持ち家を買ったとたんに単身赴任を命じられることも、都市伝説ではなく本当にあった話です。

会社に就社してしまうと、理不尽な命令にも従わざるを得なくなります。

しかしジョブ型人事の世界では、ポスト最適であることを前提として異動・昇格判断がなされることになります。

だから、異動や昇格を希望するのであれば、次に目指すポストの職務記述書の内容に合わせて自己研さんを積むことができます。

あるいは異動を希望しないのであれば、今のポストの要件に沿ってしっかり業務を進めていけばよいのです。現在のポストで成果を出し続けている人を無理に異動させようとは考えなくなるからです。

人事制度が変わる、というと不安になる人が多いのですが、キャリア形成を自分で考えたい人にとっては、ジョブ型人事制度はとても良い仕組みとして活用できるということをぜひ覚えておいてください。

 平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。

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