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―「設備投資」という言葉が出ましたが、キャリア形成においては「専門領域を固めること」が一番重要なのでしょうか。

人によると思います。ジェネラリストとして1つの会社の中でキャリアアップしていきたいのか、会社に所属するよりも自分の専門領域でキャリアを積み上げたいのか。私は後者のタイプで、「自分が何屋か?」を明確に言えると仕事がしやすくなります。

やりたいことよりもできること

どんな領域も日々進化していて、その進化に追いつける人がその分野の専門家だと思うので、何十年も前に大学で学んだというだけで「私は◯◯の専門家です」と言うのは、私は少し違うと思っています。「自分は何屋です」と言える人は、現在進行形でずっと学び続けている人ではないでしょうか。それを言う資格をもてるように、私も学び続けたいと思っています。

―学びを継続するためのコツなどはありますか。

「WANTよりもCAN」、つまり、やりたいことよりもできることをやったほうがいいと思います。例えば、好きだった食べ物に急に飽きてしまうことがあると思います。同じように、会社のビジネスモデルが変わったり、自分の家族構成が変わったり、社会環境の変化などのちょっとした外部要因でも、考え方が突然変わってしまうことはあるものです。実際に私は、リーマン・ショックの影響で急に仕事に対する考え方が変わりました。

しかし、自分がそれまでできたことが急にできなくなることは、ほぼないと思います。ですから、「WANT」よりも「CAN」を固めていくほうが手堅いと思います。先ほど「ピボットが大事」という話を紹介しましたが、この「CAN」を固めることが自分の軸を作ることにつながると思います。

―学び直しの方向性が所属する組織と合わない場合には、どうすればいいのでしょうか。

私がMBAに通い始めた頃は、今以上に「わざわざ行く必要はない!」という雰囲気が強かったと思います。ただ、そう言っている会社は、自分を一生面倒見てはくれません。私はリーマン・ショックを経験してそのことを思い知りました。

大切なことは、やはり「自分で自分の身を守る」という視点をもつことだと思います。ノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマン氏は「選択の自由」という著書の中で、「労働者を守るものは、労働法でもなく労働組合でもなく、自分のスキルだ」と書いています。もし組織と方向性が違うことで悩んだら、学び直しや転職活動をしながら「自分を一番サポートできるのは自分だ」と考えて、今の場所に固執せずに外の世界に視野を広げてみるといいと思います。

―学び直しをすることについて、周囲の人の理解を得るためのよいアドバイスがあれば教えてください。

いろいろなハードルがあると思いますが、まず、ほとんどの人は学び直しを応援してくれると思いますから、思い切って挑戦してみることです。

日本では「学び直しと賃金の関係」の研究はあまり行われていませんが、イギリス、ノルウェー、アメリカの研究を見ると、学び直しによる賃金アップ効果はどこの国でも観測されています。特に、賃金アップ効果は女性のほうが大きいことが報告されています。そのようなエビデンスは、家族などを説得するときには有効だと思います。

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