ジョブ型時代こそ人に投資 リスキリングで価値上がる
あしたのマイキャリアリスキリングで市場価値とのズレを埋める
―田中氏
私は「プロティアン」というキャリア開発の考え方を企業の現場にお伝えしていますが、それはまさに「今までやってきていないからできない」と考えるのではなく、やってきたことを資産として生かしながら変幻自在にキャリア形成するということです。組織内キャリアで経験を積むと、それが組織の中で良くも悪くも「プロ化」していきます。組織の中で「これしかやってません」となると、組織内の1番よくわかっている人にはなれても、市場価値とはズレてしまいます。組織内のプロフェッショナルをキャリアトレーニングして市場の中で通用するレベルまで引き上げることを、日本企業はやっていく必要があります。
―柏倉氏
今のお話は「キャリア資本」の考えにつながると思います。キャリア資本は、「会社特有の資本」と「職種特有の資本」の2つに分けて考えることができます。日本企業は会社特有の資本ばかりに目がいきがちですが、これに職種特有の資本を組み合わせることでキャリア資本そのものが高まる余地があります。
例えば、現場のことをよく知っている人がITシステムを組めないので、現場をよく知らないエンジニアがシステムを作り、結局現場からは文句が出るという現象が多くの会社で起こっています。現場を知り尽くしている人が「職種特有の資本」を手に入れて現場とITの両方を理解できるようになれば、付加価値は上がります。「会社特有の資本」をもつ人を尊重しつつ、リスキリングで何を加えると価値が上がるのかを考えることが重要だと思います。