大日本印刷の人事が推す 「行動する恐怖」に克つ2冊
社会人1年目の課題図書「ハードルとなるのは『恐怖』です。周りから評価を下される恐怖や、未知のことに挑戦し、失敗したらどうしようという恐怖。この本ではたくさんの事例を挙げながら、その恐怖をいかに払拭するかが丁寧に書かれています。読み進めていくうちに、能力の総量は生まれながらにして決まっていると決めつけてしまうと自分の可能性を狭めてしまうけれども、自分で行動を起こし、小さな失敗を繰り返しながら学んでいけば、実は可能性は広げていけるのだとポジティブな気持ちになれます」
「第3の創業」に必要な勇気
乾さんは、時代の中で変化してきたDNPだからこそ特に「アイデアを形にしていく行動力が求められている」と話す。同社の前身である秀英舎が創業したのは1876年。最初の70年近くは出版印刷が事業の中心だったが、その後、印刷する対象を紙からフィルムや金属などに広げ、世界的にも珍しい「総合印刷業」へと転換。それはいわば「第2の創業」だった。さらに2015年には「第3の創業を実現する」と宣言。背景には顧客からの要望や課題に対応していれば業績を伸ばせた時代は終わったという危機感があった。DNPが自ら人々や社会の課題を発見し、その解決に取り組んでいく。宣言にはそんな意味を込めた。
それから6年余り。地球環境大賞を受賞した「DNP多機能断熱ボックス」や再生医療や創薬への応用が期待できる「ミニ腸」の開発など、行動を起こした成果もさまざまな領域で出てきているという。

顧客の課題解決を重視するなかで、広告代理店と競合するケースも増えてきた、と語る乾さん
12年に入社した乾さんは営業を6年経験したのち、今の部署に異動。最近は、若手社員に活躍してもらうための施策作りにチャレンジしている。
「以前は私自身も批判されるのが怖くて自分の意見をなかなか表に出せなかったり、失敗を恐れて無難なプランに収めてしまったりという傾向がありました。でも勇気を出して発信するといろんな人からフィードバックをもらえるんですよね。それを『批判』と捉えるのか、自分のアイデアをもっと良い方向に進めていくための『糧』と捉えるのかで結果は全く違ってくる。それに気づくまでが大変でしたが、以来、積極的にアイデアを出せるようになりました」
乾さんは、最近の学生について「ネットで情報を集めるのがうまく、賢くなっている。一方で、自分が行動する前から失敗の予測がついてしまうが故に、結果として動けないという傾向も強まっている」とみる。