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「勇気」と「知恵」で戦う

―非常に面白いですね。

もう1つ。07年アジアカップのオーストラリア戦前のミーティングも忘れられません。実は前の年にオーストラリアに大敗していました。再び負けたら日本にとって深刻なトラウマになりかねない。そのとき、オシムさんが言ったのは「『勇気』と『知恵』の両方をもって戦う」というものでした。

言い換えれば、戦うには熱い思いだけではだめだし、考えすぎてもだめ。勇気と知恵のバランスが大事だということです。サッカーでもビジネスでも、どんな場面においても必要なポイントではないでしょうか。

―熱い思いが先行する人、あるいは考えすぎて動けない人、日本のビジネスパーソンはどちらのタイプが多いでしょうか。

考えすぎの人が多い印象です。

―逆に、鈴木さんはサッカーもそうですが、起業しようと決心したことなど、意思決定がものすごく速くてすぐに行動されますね。

「自分の選択をYESにする」と語る鈴木啓太氏

「自分の選択をYESにする」と語る鈴木啓太氏

自分がやりたいことを自分で理解しているからです。もちろん、間違うことがあるかもしれません。それでも、自分の選択したことをYESにしていく。後悔はしたくはありません。

よく、なぜ起業をしたのか、監督を目指さないのか、サッカーには関わらないのか、と聞かれます。最終的にはサッカー界に戻りたいです。でも、選手時代に自問自答した結果、「井の中の蛙(かわず)」にならないためにも、一度サッカーの外に出るべきだと思ったんです。

―自分の選択をYESにしていくって、いいですね。

はい。あれもこれもリスクだと言っているとリスクを潰している間にチャンスがなくなってしまいます。致命傷さえ負わなければ、やってみて、失敗して、改善すればいいだけです。

よくオシムさんは「走りながら考えろ、考えながら走れ」と言っていましたが、これを両立するのは非常に難しいことです。でも、そもそも自分の体は「すぐに動きだせる準備ができている」のか、まずはそこからだと思います。いいパフォーマンスはベストコンディションのときに生まれます。いつでもコンディションを整えて準備をしておくことが大事です。

※記事はセミナーの内容を元に再構成したものです。

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