「みんな連携しないとあかん!」 くら寿司流のDX改革
リスキリング戦略回転ずしチェーンにとって、食材のロスの最小化は最大の課題の一つだ。魚の端材をできる限り少なくするには漁港関係者との連携も必要、加工工場や店舗での廃棄が増えれば、コスト上昇だけではなく環境にもマイナスになる。ロス最小化には、バリューチェーン全体をにらんだ様々なデータを収集、分析が不可欠となる。
客足はメニューの価格や天候、曜日など様々な要素で変わる。店長の勘と経験に頼るわけにはいかない。中林さんは、「食材の調達からお客様の口に入るまで、デジタルテクノロジーとデータを活用しながら、このサプライチェーンの最適化を進めています」と語る。
各部にデジタルリーダー、データ人材を次々養成

回転ずし大手に成長した「くら寿司」のオフィス
DX人材の育成も急務となっている。まず各部門にデジタルリーダーを置いて、情報を迅速に交換・共有する体制に改めた。各従業員にもデジタルマーケティングなどDXに必要なスキルの勉強会を適宜開催して、人材育成に当たっている。要となるデータ人材は現在30人ほど。内製化を進める一方で、新卒を中心にデジタル人材候補の採用、教育を行っている。
「実質的に回転ずしチェーンは次々消えている」と中林さんは話す。多くのチェーンが寿司をレーン上で回す方式を改め、注文対応型としているためだ。しかし、「次に何が出てくるやろかというこのワクワク感がたまらない。うちは回転ずし屋であり続ける」という。
「ビッくらポン」などのガチャ方式で人気となった同社は、「様々なアニメキャラとのコラボも次々繰り出す」とテーマパーク的な要素を一層高める方針だ。一方で、コロナ禍で接客レスが進んだが、注文端末を活用した新たなコミュニケーション策も検討中という。
「売り上げが一番という以上に、寿司を食べようと思ったらくら寿司、世界一のレストランを目指したい」と意気込みを語る中林さん。パナソニックから転職してわずか半年あまり、「くら寿司流DX」のリーダーとして多忙な日々を過ごしている。
(代慶達也)