社員の英語力アップに効く研修デザイン 理論的に解説
トライオン代表 三木雄信
ビジネススキル
写真はイメージ(PIXTA)
英語コーチングスクールTORAIZ(トライズ)を運営しているトライオン代表の三木雄信です。この連載では、主に経営や人事に関わっている方に向けて、効果的な英語研修のあり方について説明してきました。前回の第3話「英語人材育成はタレント育成 能力測って細かな研修を」では、社員のキャリアパスを軸に英語研修のゴールを明確にすることが重要であることをお話しました。
今回は、なぜゴールを明確化することが重要かということについて、研究理論に基づき深掘りしたいと思います。
1984年、アメリカの教育学者ベンジャミン・ブルームが「2シグマ問題」というコンセプトを提唱しました。一人の教員が大勢の生徒に対して行う一斉授業に対して、個々の生徒に最適化したマンツーマンレッスンのほうが、はるかに効果があるというものです。実に95%以上の人が、マンツーマンレッスンのほうが一斉授業の平均達成度を超えることができたのです。

縦軸は生徒数、横軸は達成度を表します。そしてそれぞれの曲線は次の3つの授業のタイプ別に結果を示しています。
(1)は従来型の1対30の「一斉授業」(Conventional)
(2)は1対30の一斉授業の後に一斉授業の内容について確認と追加の学習を個別に行う「習熟学習」(Mastery Learning)
(3)は1対1の「個別授業」(Tutorial)
これら3つの授業のタイプの差は、驚くべきものでした。「一斉授業」と「個別授業」の結果の差が2シグマつまり偏差値20も差があったのです。偏差値20の差は非常に大きな差です。
さて、話を英語研修に戻しましょう。