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ライバル台頭に対抗 ブランド力をアップ

こうして味ぽんの出番は広がり、商品群も厚みを増していったが、多くのライバル商品も登場してきた。味つけぽん酢ではトップを走る味ぽんだが、西日本を中心にユズやカボス、スダチなど、かんきつ系ぽん酢・味つけぽん酢を生産するメーカーが増えてきた。味ぽんは定番的な位置づけの調味料として定着した半面、味ぽんが広げたマーケットを狙う各種ぽん酢からの追い上げにさらされる立場ともなった。

たとえば1967年発売の「旭ポンズ」の旭食品(大阪府八尾市)は西日本に強い。馬路村農業協同組合(高知県馬路村)は86年にユズ産地の強みを生かして「馬路村 ぽん酢しょうゆ ゆずの村」を発売した。ミツカンも77年に「ゆずぽん」を発売。さらに94年には高知県産のユズを100%使った「かおりの蔵 丸搾りゆず」も投入した。

掛田さんは「つけ・かけのたれ需要としては、他ブランドよりも安いから、『味ぽんでいいや』と考える人が多いかもしれません。これを、味ぽんのイメージは崩さずに、どうにかして『味ぽんがいいね』に変えたいところです」と、もう一段上のブランディングを目指す。

アパホテル&リゾート〈新潟駅前大通〉の「味ぽんプール」

アパホテル&リゾート〈新潟駅前大通〉の「味ぽんプール」

レシピなどの紹介を通して、調理のしやすさを打ち出すほかに、「店頭以外で味ぽんを押し出していくことも考えています」と掛田さんは打ち明ける。アパレルブランドや有名ゲームとのコラボレーションも考えていくという。2月には新潟市のアパホテル内に「味ぽん」のロゴが入ったプールを完成させた。

レインズインターナショナル系の居酒屋「土間土間」が2019年に期間限定で、メキシコの蒸留酒「テキーラ」に、味ぽんを少量入れて飲むという「テキぽん」を売り出したこともあった。もともとテキーラには、塩をなめ、レモンやライムをかじって飲む方法がある。今でもSNS(交流サイト)などで話題になることがあるという。

今や「万能調味料」と呼ばれるまでになった味ぽんはいろいろな食べ物・飲み物に寄り添ってきた。水炊きから始まったこれまで58年間に及ぶ「相棒探し」の旅は料理やカクテルといった枠組みを超えて、さらに続きそうだ。

(ライター 三河主門)

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