変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

――コロナ禍で働き方が大きく変わりました。最近の欧米の動向を教えて下さい。

「以前と同じようにオフィスへ来てしてほしいと要求する会社もありますが、そういう会社は高い給料を支払わなければならなくなっています。法律事務所では大学を卒業したばかりの人に年間15万ドルもの給料を出しています。ほとんどの人が柔軟な働き方を求めているからです」

「世界中で柔軟な働き方が広がっています。例えばカナダ年金基金投資委員会(CPPインベストメント)は3カ月間、インターネット環境さえあれば、世界のどこの国から働いてもいいですし、英国の行政機関では従業員が2人1組になって半分ずつ仕事をする『ロールシェアリング』を試みています」

仕事のデザインを見直す 欧米では週4日勤務を検討

――働き方の自由度が高まった一方で、自由度を生かして活躍している人と、従来の働き方でないと働きにくいと戸惑うベテラン社員の間でギャップが生まれています。企業はどんな施策が有効でしょうか。

グラットン氏は「モチベーションは好奇心」と語る

グラットン氏は「モチベーションは好奇心」と語る

「『場所』と『時間』の2軸で考えることが重要です。コロナ禍が始まったとき、ほとんどの人が場所を重視していました。出社すべきか、在宅すべきかと。時間の柔軟性にもっと目を向けてもいいのではないでしょうか。欧米では多くの企業が『週4日勤務』への移行を検討しています。中には、週の合計勤務時間が決まっていて5日じゃなくて7日に分散させてもいいという会社もあれば、4年に1回、3カ月の『サバティカル休暇(有給の長期休暇制度)』を認める会社もあり、いろいろな形が出てきています」

「質問に少し角度を変えてお答えするなら、仕事に対する見方を変えるということです。私の新刊『リデザイニング・ワーク』ではまさに、その話を書いています。まず、考えるべきことは『何の仕事をしているか?』『どうやったら建設的に仕事ができるか?』ということです。その人が何をしたいかというより、仕事の特徴を考えます。例えば、私の仕事ではリポートを読んだり、研究したり、物書きをする時間が必要です。人を集めるなど調整が多い仕事の人もいるでしょう。また、新しいアイデアを考えるために人々の協力が大事な仕事もあり、そのためにオフィスが必要という考え方もできます」

――最近、キリンホールディングス(HD)とヤフー、パーソルキャリア(東京・千代田)が相互に副業を推進すると発表しました。日本企業にも人材戦略を経営戦略として捉え、社員それぞれのキャリアオーナーシップ確立を支援する新しい動きが出てきています。一方、社員のデータを集め、管理を強めている風潮もあります。働く人が何歳からでもポテンシャル(潜在能力)を伸ばしていける社会にはなかなかなっていきません。日本の課題とそれを打破するブレイクスルーはどこにあると思いますか。

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