うちの業界、あの業界では今、何の講座を学んでる?
2022年法人向け 業界別Top5(後編)
リスキリングtopics「プロダクトデザイン」がランクインの総合商社
総合商社のTOP5にはDXリテラシー関連、ITパスポート対策、プロダクトデザイン、マーケティングと幅広い分野が入った。同業界では、eラーニングを全社的に導入しているケースが多く、階層別研修でもリアル研修と組み合わせて幅広く使われているという。「いろんな部門でいろんな使い方がされているためにバラエティーに富むトップ5になったのではないでしょうか」(飯田さん)
4位に「手を動かして学ぶプロダクトデザイン入門」が入ったのも商社らしい。商社といえばもともと、エネルギー資源からインフラ、小売りなど事業範囲が幅広いが、近年はさらに新規事業を創出しようと、社内でコンペなどを行う企業も多い。不確実なことにチャレンジする際に欠かせないのが、早い段階でプロトタイプを作ってトライ&エラーを繰り返し、要件を詰めていくアジャイル開発の考え方。その講座を多くの社員が受けることで、社内で共通認識ができるメリットもあるようだ。
前編・後編それぞれ22年の各業界のリスキリング動向をみてきたが、23年に入ってからは高度な対話AIとして話題のChatGPT関連の講座の人気が急上昇している。当初は海外で制作された英語による講座のみだったが「英語でもいいのでいち早くキャッチアップしたい」と受講が殺到。最近はIT批評家の尾原和啓氏がChatGPTの歴史からビジネスシーンでの活用法までを解説する講座など日本語の講座も充実してきている。
飯田さんによると、グローバルな潮流が日本に入ってくるスピードも年々早くなっている。今後はセキュリティ関連はもちろん、脱炭素などグリーン・トランスフォーメーション(GX)関連の講座への関心も高まりそうだ。
最後に飯田さんに、同じ業界でもリスキリングが進む企業とそうでない企業の差はどこにあるのか聞いた。答えは「うまく社内マーケティングを仕掛けられるかどうか」だという。
「どんな組織にもUdemy Businessをはじめとするオンライン学習コンテンツを使い倒す人、講座を受けて何かしら目覚める人って必ずいるんです。そういう『ラーニングヒーロー』に光を当て、その人たちを取り上げた記事を社内のコミュニティで共有したりしている企業さんは、うまくいっているようです。あとはやはり、トップがリスキリングに明確なコミットメントをし、自らも学んでいるというのも重要ですね」
(ライター 石臥薫子)