「住宅ローンと学費を払うまで辞められない」は本当か
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この機会に「必要な金額と時期」を具体的に確認してみてはいかがでしょうか(写真はイメージ)=PIXTA
企業から依頼を受け、社員向けにキャリアデザイン研修やライフプラン研修の講師を務めることがあります。受講者からよく聞くのが「特定の時期まではいや応なしに働かなくてはならない」という言葉です。「住宅ローンの返済が終わるまで」「子どもの学費を払い終わるまで」の2つが代表的です。
この2つが区切りになるのは、よく理解できます。しかしよく話を聞いてみると、具体的な時期や金額について意識して行動している人は多くありません。想定通りに支払えなかったときの代替計画を立てている人も少ないと感じます。
計画というと大ごとに思えますが、大層なことではありません。「住宅ローンは毎月いくら、何年まで続くのか」というごく基本的なことです。子どもの学費については「どのような学校に進学したら学費がいくら発生し、何歳まで親が負担するのか」です。
理解しているつもりの人も、具体的な金額や時期について質問すると答えられないことがよくあります。これらを明確にして、いつまで誰がどのように支払うかをはっきりさせるだけでも、月々の支出の見積もりは変動し得ます。その結果によって、今後の働き方の選択肢も変わってくるのです。
住宅ローンを完済しても、支出は発生
まず、住宅ローンの支払いが終わるまでを考えてみましょう。賃貸住宅にお住まいの方も、ここではひとまずローンを組んで住宅を購入したという前提でお考えください。
戸建てか集合住宅かでも事情は変わりますが、住宅ローンを完済すれば住居費が発生しなくなるかといえば決してそうではありません。集合住宅の場合、修繕積立金や管理費などが住んでいる限り必要になります。つまりローン完済後も、1~2万円程度の支払いは毎月発生します。
修繕積立金や管理費が今より上がることも想定しておいたほうがよいでしょう。さらに、水回りをはじめとした修繕費も忘れてはいけません。生活していれば、住居は多かれ少なかれ劣化していきます。その修繕費も含めれば、「住宅ローンが終わるまで働く」というゴール設定は見直しが必要になるかもしれません。