「住宅ローンと学費を払うまで辞められない」は本当か
技術者の働き方ホントの話セレクション学費は親が払うもの?
一方の学費は、子どもの成長に伴って発生します。受験事情や学費、行政からの支援金などのトレンドは、時代によって変化します。子どもが幼いときにシミュレーションをしたという人も、最新の情報を基にアップデートされることをお勧めします。
大学でキャリアに関する授業を担当している筆者も、時代の変化を実感しています。例えば奨学金。日本学生支援機構が2022年3月25日に公表した「令和2年度(2020年度)学生生活調査結果」によれば、大学(昼間部)に通う学生のうち、何らかの奨学金を受給している人の割合は49.6%。つまり約半数に達しています。
筆者が学生の頃、奨学金を受給する学生はそれほど多くありませんでした。授業にはあまり顔を出さず、アルバイトに専念して学費や生活費を稼ぐというのも一般的でした。
それが今は、授業にはきちんと出席して良い成績を取り、3年生になったらインターンシップに参加。それが終われば就職活動と、学生生活に隙間がないようです。昔のように授業をおろそかにしつつ及第点を取る学生もいるのでしょうが、筆者が見る限り、学業に忙しくてそれ以外のことに時間を割く余裕が少ない印象です。
奨学金を活用することを前提にするなら、毎年の学費の支払いは想定より下がる可能性があります。条件によっては学費の一部免除をしてくれる学校もあるようですから、そうしたものを確認する手もあります。「子どもの学費は親が負担するもの」と考えている親は多いのですが、一度その思い込みから離れて考えてみてもよいでしょう。
お金のことは親子間では話しにくいかもしれません。しかし、家計に占める学費の割合は決して小さくありません。「いつ、いくら必要になるか」を具体的に把握できずにいるとやきもきしてしまいますが、親子で話すことで明確になることは少なくないと思います。
今回は、住宅ローンと学費を取り上げました。この2項目だけでも曖昧だった方は、この機会に「必要な金額と時期」を具体的に確認してみてはいかがでしょうか。そうすれば、これまでとは異なる視点で今後の働き方を考えられるようになるかもしれません。
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。