差別の背景に意識せざる特権 気づき促し韓国でヒット
人生の景色が変わる本(28) 『差別はたいてい悪意のない人がする』
ブックコラム要点4 カミングアウトには大きな意味がある
公園などで集会するマイノリティーに眉をひそめる人がいる。「なぜあえて目立つ場所に出てくるのか」との声も聞くが、それは「みんなから見えない」ことがマイノリティーをつくるからだ。無言の圧力で、時にあからさまな視線で排除された人たちは、社会から身を隠し引きこもる。当たり前に生きる権利を獲得するには、まず自らの存在を知らしめないといけない。性的指向を「カミングアウト」することの意味も、そこにある。
要点5 自由・平等と無縁の人がまだまだいる
韓国では差別禁止法の制定を求める運動が続いている。国が介入することに否定的な意見もあるが、すでに差別が蔓延している現状を打開するには、法規制が必要だ。王侯貴族だけのものだった自由と平等を人々は求め続け、時代とともにそれらを享受する層は増えた。しかし、まだ取り残されている人々が多く存在することを忘れてはいけない。
(手代木建)
[日経ウーマン 2022年3月号の記事を再構成]