キーエンスの強さの秘密に迫る 仕組みと風土を解剖
八重洲ブックセンター本店
ビジネス書・今週の平台高収益企業に生まれ変わるには
営業の仕組みのみならず、商品開発から工場を持たないのに当日出荷できる体制など、あらゆる段階で「付加価値を最大化する」同社の仕組みが浮かび上がる。そうした仕組みをやりきる人材を育てる仕組みやそのベースにある風土、さらにはその源流をなす創業者の基本的な経営観や仕事観にも焦点を当てる。
〈仕組みを表面的にまねするのではなく、その仕組みに込められた「哲学」をまねする〉――それが高収益企業に生まれ変わる鍵ではないか、と著者は指摘する。
「大きく売れる新刊が少ない中で、店頭での反応のよさが目立った本」と同店でビジネス書を担当する川原敏治さんは話す。官民挙げて賃上げ機運が高まる中、給料の高さで知られる高収益企業の「哲学」を知ることはこれからのビジネスを考える大きなヒントになりそうだ。
『ビジネス教養としての半導体』が2位
それでは先週のランキングを見ていこう。
1位は『テレビCMの逆襲』。運用型テレビCM事業の成長を主導する広告ベンチャーの社長による広告論だ。2位の『ビジネス教養としての半導体』はビジネスパーソンとして最低限知っておくべき半導体の知識を解説した本。22年9月刊で息長く売れている。3位の『2023年版 経営労働政策特別委員会報告』は労使交渉における経営側のスタンスを示す経団連による報告書。春闘を控えたこの時期、毎年最新版がランキング上位に入る。今回紹介した『キーエンス解剖』は4位に入った。12月下旬の刊行だが、店頭にあったのはすでに3刷と順調に売り上げが伸びている。定番の業界研究ムックの最新版『「会社四季報」業界地図 2023年版』が5位だった。
(水柿武志)