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首都圏の桜蔭の併願校は男女共学の筑波大学付属中学や東京学芸大学付属中学など国立大系の中学や慶応大学の付属中のほか、最近では新興勢力の渋谷教育学園幕張中学(千葉市)、女子校では豊島岡女子学園中学などだ。ただ、筑駒以外の国立大付属中は大学進学実績で最近、伸び悩んでいる。前出の進学塾経営者は「国立大付属は予算面で厳しく、施設が老朽化している。しかも90年代まで東大合格者数が100人を超えた学芸大付属は相次ぐ不祥事で凋落(ちょうらく)した。都内の男子は筑駒、開成の2強体制だが、女子は桜蔭1強で揺るがない」と指摘する。

海外有名大の合格者も輩出

女子校のため、海外大学受験には消極的とみられていたが、2021年には英ケンブリッジ大学や米ペンシルベニア大学、カナダのトロント大学など海外有名大の合格者も輩出した。「礼法」を重んじ、保守的な校風だが、「今は女性もグローバルに活躍する時代」と海外大進学に対応する部署も設けた。

桜蔭出身者はどんなキャリアを歩むのか。東大の現役医学生は「桜蔭の3~4割は医学部志望。私も理系は得意だったし、解剖も苦手ではなかった(笑)。何よりも社会貢献につながるので、医師の道を選んだ」と話す。桜蔭OGは1万9000人を超すが、「手に職」と医師や弁護士になる人が多い。

齊藤校長は「頭の使い方さえしっかりしていれば、どんな状況でも何とかなる」と語る

齊藤校長は「頭の使い方さえしっかりしていれば、どんな状況でも何とかなる」と語る

「女の園」から理不尽な男性社会に入り、戸惑うOGもいる。ある桜蔭OGは大手商社に入社後、うるさい男性上司の洗礼を浴び、「もう耐えられない」と辞めた。この場合、他の企業に転職するのが普通だが、このOGは医学部を再受験し、見事に合格した。逆境に追い込まれても、努力を積み重ねて学習力で跳ね返すのが桜蔭流なのかもしれない。

齊藤校長は「頭の使い方さえしっかりしていれば、どんな状況でも何とかなります」と笑う。桜蔭から東大の本郷キャンパスまで徒歩15分程度、東京医科歯科大までは徒歩10分を切る距離にある。実力でも地理的にも東大や医大に最も近い女子校だ。次の1世紀もそのブランドの輝きは変わりそうもない。

(代慶達也)

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