管理部門の新キャリア論 戦略も立案、事業経験がカギ
エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子
次世代リーダーの転職学経理、財務、人事、総務、法務、広報、IR――これらの職種は、従来「管理部門スタッフ」と総称されてきました。しかし、最近では「コーポレートスタッフ」と呼ぶ企業が増えています。そこには、「管理だけしていればいいわけではない」という企業の意図が見てとれます。「経営を支える戦略家」としての役割に期待を寄せるようになっているのです。
従来の「管理部門」は、文字通り「管理」の役割を果たしてきました。経営資源である「ヒト・モノ・カネ」のうち、例えば「カネ」に関しては、極論すればメインバンクとお付き合いをしていれば資金調達ができた時代もありました。
「ヒト」に関しては、新卒一括採用や一斉研修、終身雇用、年功序列の人事制度を、一定の型どおりに運用していれば組織は回っていました。
このように手法やルールが確立されていて、そのオペレーションを「守る」「事務処理を正確にする」ということが、管理部門に求められる役割だったわけです。
しかし、近年は状況が大きく変わっています。

管理部門にも「戦略」が求められるようになっている(写真はイメージ) =PIXTA
「カネ」に関しては、投資家たちに企業価値を伝えて資金調達を行っていく動きが欠かせません。特に最近は「ESG投資」が活発です。従来のように、財務状況や事業成長性だけではなく、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の観点で企業が評価され、投資判断がなされるようになっています。
「サステナビリティ(持続可能性)」「SDGs(持続可能な開発目標)」などとも表現されますが、2021年の東京証券取引所によるコーポレートガバナンス・コード改訂においても、この要素が重視されています。
コーポレートスタッフはこのテーマに向き合い、企業価値の向上に取り組んでいかなければなりません。