変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

―――東南アジアでは、どんなビジネスをされたのでしょうか?

佐渡氏 東南アジア子会社立ち上げのため、2011年10月に単身で渡航したのですが、インターネットやモバイル起点に何かをやるということ以外何も決まっていなかったんですね。空港やレンタルオフィスで寝泊まりしながら、ビジネスを模索しました。そのときに、ネットもスマートフォンもネット決済もそこまで広がりきっていないことに気づいたんです。スマートフォンはインドネシアで100-200万人しか持っていない状態で、ちょっとビジネスとして時間かかるよなと。結果的には、自社の海外開発拠点の立ち上げに切り替え、最終的にベトナムで子会社を作り、大学と連携し優秀なエンジニアの採用パスを構築し、最大40名程度のチームとなりました。

日本でエンジニア採用が苦戦している時期だったので、海外でエンジニアリソースをまかなうということに、舵(かじ)を切ることにしたわけです。

―――英語や言語はどうされましたか?

佐渡氏 英語は在学中に、ダイ・ハードやプリズン・ブレイクなど、海外の映画とドラマを繰り返しシャドーイングして覚えました。ただ、その手の映画はアクションが多すぎて語学学習として効率が悪いのと、覚えるワードがスラングばかりになってしまうので、途中からフルハウスのような人間ドラマに切り替えました。

―――海外でのエンジニア拠点立ち上げの経験は、今の仕事にどのように生きていますか?

佐渡氏 現在の職場のLayerXでは、グローバル規模で最安値かつ安定した電力を探しマイニング拠点を作るというビジネスからはじまったのですが、具体的な該当場所の絞り込みや、カナダのアルバータ州政府との交渉に生きました。また、全社の採用チームの立ち上げを行い、プロのCHRO(最高人事責任者)が入るまで、その採用チームのリードをしていました。東南アジアの時の海外交渉と採用の経験が役に立ちましたね。

―――フリーランスで活躍していた佐渡さんが、なぜ今の会社(LayerX)に移ることを決められたのでしょうか?

佐渡氏 1つ目はLayerXは「すべての経済活動をデジタル化する」という目標を掲げていて、登る山の高さが自分一人(フリーランス)では到達できないほど高いことが魅力的だった点。2つ目は代表の福島が、人としてものすごく信頼できる人間でして。過去に1回上場させているのですが、上場をゴールにするのではなく、この事業の成功、社会的な貢献に120%人生をかけているのが社員に伝わってきます。3つ目は、従業員、すべてのステークホルダーを幸せにする、ということを公言しています。今まで見てきた会社の代表の中でこの言葉を発したのは福島1人です。一緒に背中を預けられるっていう観点で信頼できる人、チームに巡り合えたのは大きかったですね。

―――そういった佐渡さんのキャリアなんですが、最初から考えて設計をされていたのでしょうか?

佐渡氏 実はかなり行き当たりばったりです。例えばプロダクトリリース2カ月後の初期のメルカリに参画する機会があり、当然そこに残るという選択肢もありましたが、離れた理由は、プロダクトの完成度が高かったためです。自分がいてもいなくてもこのプロダクトは伸び続けるな、と感じてしまいまして。自分は知的好奇心が強い人間なんだと。大きなことを成し遂げたいという夢はかなえられる環境ではあったのですが、それよりも自分が関わることで事業がよりドライブさせられる環境で挑戦したいという思いに初めて気づきました。

―――0→1を生み出すことへのこだわりを感じます。どうやって機会に巡り合えたのでしょうか?

佐渡氏 0→1に対する嗅覚を大切にしているからかもしれないですね。高い山に登りたいがゆえに、「どういう人たち」「どういうプロダクト」「環境」に、意識のアンテナ張っていればいいんだろう、ということを常に考えています。アンテナを張っておくと、巡り合えるチャンスが増えると思います。また、視座の高い人を見つけたときに、その人に対して徹底的にgiveをします。自分が持っている情報やネットワーク、人の紹介も含めて、見返りを求めずに提供します。まずは自分の存在を知ってもらうように、その人に興味を持ってもらえるように意識しています。

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