変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

―――報酬やお金についてはどのように考えていますか?

佐渡氏 サラリーマンをやっていると給与所得に目が行きがちですが、給与所得にこだわる必要はないと考えています。例えば、資産運用もあれば、今まで培ってきたスキルを、他の会社に副業という形で提供する。さらに「そこで自分が得たスキルや経験を本業に戻すことによって、本業もさらに良くなる」というループを意識しています。

給料の高い安定した会社に行こう、という選択肢が魅力的できれいに見えることは多いと思うのですが、一方で給与所得にこだわらないことで、目の前の機会や自分の心の声に正直になれるというメリットがあります。自分の本当にやりたいことや情熱を持ってできることが、お金と一致していればいいんですけど、お金にこだわっちゃうと、そうじゃない場合に本当に自分がしたいことができなくなっちゃうのは、短い人生でもったいないです。

―――「キャリアとお金」について、佐渡さんの考えをお聞かせください。

佐渡氏 大企業に入社する=正義という方程式が変わってきていると感じています。大局として見れば、車を作って売る、広告の枠を抑えるなど、大企業のビジネスモデルは100年単位で見ると大きく変わってないんです。技術革新が起こり、様々なことが変化していく中で、変わらないビジネスモデルの中で働くこと自体が、世の中の変化に対応しづらいキャリアを形成してしまっている可能性があります。

結果的に特定の領域では、デジタルを使える人とデジタルを使えない人の市場価値が逆転してきています。この流れはデジタルのマーケットが広がる限り不可逆です。フラットに自分の市場価値って今どんな感じなんだろうと考えてみることが大事だと思いますね。お金そのものを追いかけるより情熱を持てることを仕事とし、大きな価値創造の結果として、お金が増えるようなキャリアだと楽しいんじゃないかなと思います。

いかがでしたでしょうか。佐渡さんは、エンジニアとしての経験や東南アジア子会社立ち上げの経験を通して、フリーランスとして働くスキルを確立しました。一方、一人では登れない「登る山の高さ」に共感し、信頼できる仲間と働いています。そういった臨機応変なキャリア形成の背景には、給与所得だけにこだわらないという「キャリアとお金」に対する考え方がありそうです。

滝健太郎
東京大学経済学部卒。生まれてこのかた日本は低成長で、バブル時代を知らない世代。A.T.カーニーのリーダーシップグループの一員として「日本の課題解決先進国化」に挑む。「創造と変革のリーダー輩出」のための社内の各種キャリア形成セミナーを主催。

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