塾に通わず東大合格、第一歩は称賛より「承認」
ニューススクール渋渋のバスケ部で効果的練習法を思考

まなびコーチングを起業した長尾さん
――塾に通わずに東大理科1類に現役合格したそうですが、自分で勉強ばかりしていたのですか。
「いいえ、むしろ部活動に力を入れていました。6年間バスケット部でした。ただ、都心の学校で体育館が大きくないので、週1回しか使えませんでした。コーチの先生は、何のためにバスケをやるのか、どう工夫したら、練習効果を最大化できるのか考えろと。なんとなく、ダラダラやっていると怒られる。筋トレなど基礎トレーニングをどこでどれだけやれば効果があるが、自分たちで徹底的に考えて活動していました」
――明確な目標、効率的な練習法は、通常の勉強でも応用できますね。
「そうです。例えば数学の問題を解く時も、そもそも、なぜこんな問題を解く必要があるのか考えました。通常、数学の問題で間違った場合、反復的に同じ問題を解き直すと思います。しかし、なぜ解けなかったのかを考えていました。方程式を思い起こせなかったのか、勘違いなのか、単純な計算ミスなのか。何が原因なのか、そこを考えて、対応策を考えると最大限の学習効果を得られると思います」
親の頭からの決めつけはNG
――受験勉強する際、どのように目標を定め、自分のやる気を維持するかが大事です。どうしたらいいのでしょうか。
「そこがコーチングの重要なところです。明確な目標設定は、生徒本人の内側から出てきたモノではないと効果はありません。ただ、多くの生徒はモヤモヤしてなかなか目標が定まらない。一方、親など保護者は『あなたはやる気がない』『有名大なんて無理だ』と頭から決めつけてしまいがちです。これはNGですね。第三者のコーチが俯瞰的な立場から、相談に乗る方が効果的です。一緒に話をすると、『自分はこんなことに興味がある』、『それならA大学のB学部を目指そう』という話に展開してくるわけです。そこで本人が腹落ちすれば、目標は明確になります」
――ただ、受験は1年間など長期間のガンバリが必要となります。途中でやる気を失う人も少なくありません。
「モチベーション維持のためにもコーチングが大切です。まだ成果は出なくても、例えば1日1時間勉強するようになったら、『いいね』と認めてあげる。そこから小さな成功体験を積み重ね、一つ一つに『いいね』と承認してあげることが重要なのです」