変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

総じてインサイドセールスというのは、自分のパフォーマンスについてもお客さまについても大量のデータを見る仕事であり、そのデータをどう活用できるかが勝負です。自分がフィールドセールスに渡した案件の成約率などのデータから自分の仕事の質を振り返り、低いとすれば原因はどこにあり、どう改善できそうかを仮説思考で考える。そういうクセをつけると、優秀なインサイドセールスになれると思います。

自ら問題を作る授業で得た学び

・仕事の面白さを教えてくれた本「データベース・マーケティングの進め方」

僕は基本的に未知のことに出会うと強烈に知りたいと思うタイプなので、直接人にも聞くし、本も読みます。人生で最初に手に取ったマーケティング書籍で印象深いのは、「データベース・マーケティングの進め方―顧客情報の選別・蓄積から高レスポンスのDM・広告まで」(PHPビジネス選書)。インサイドセールスという言葉がまだなかった1995年に出版された古い本ですが、データベースに蓄積された情報をもとに、顧客のニーズを探り出す手法が書かれていて、僕がこの仕事の面白さに目覚めるきっかけになりました。

最近だとやはり福田康隆さんの「THE MODEL マーケティング・インサイドセールス、営業・カスタマーサクセスの共業プロセス」(翔泳社)はバイブルと言えるでしょう。

・座学より参加型の学びが役に立つ

仮説思考ができるようになるには、常に仮説を立てることを意識しながら場数を踏む以外ないのですが、そのためには筋道立てて考える論理的思考力は必須です。富士通のインサイドセールス育成のプログラムにも「ロジカルシンキング」や、「MECE(ミーシー)(漏れなくダブりなく)」などのフレームワークを学ぶコンテンツがありますし、僕自身この手の本はかなり読み込んできました。

もう一つ、僕の場合はこれまで働いた外資系企業、特にマイクロソフトの教育プログラムが充実していたので、そこでも多くのことを学びました。特に覚えているのは、ゲスト講師として登壇したノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院モハン・ソーニー教授の授業です。

自分たちでマーケティングの課題を作って、解決策をディスカッションし、それをプレゼンするのですが、先生はその良しあしを評価するのではなく、「こうやってみたら」と新たなアイデアを出してくれるので、さらに議論が発展してすごく面白かったんです。

一般的にトレーニングというと、課題が与えられそれに参加者が答えるパターンが多いじゃないですか。でも問題文から自分で考えろ、そしてその解決策を自分で見つけ出せ、といったタイプの授業は初めてだったので目から鱗でした。やはり実践的な力をつけるには、自分で問題そのものを作ること、そして受け身で講義を聞くより能動的に参加する形の方が有効だと思います。

インサイドセールスのキャリアパスは?

ここまでお話したように、インサイドセールスは単なるテレアポではなく、かなり奥の深い仕事であり、かつ日本ではアメリカから10年、20年遅れて、いま発展している最中です。これまでインサイドセールスは中小企業向けの営業手法で、売上1000億以上の大企業向けには馴染まない、などと言われてきました。でも、まさに僕が今、富士通でやろうとしているように、大企業向けのインサイドセールスもこれから広がるはずなので、活躍のチャンスは大いにあります。

また、非対面なので時間と場所を選ばず柔軟に働けるというのもポイントです。僕たちのチームにも秋田や名古屋在住のメンバーがいますし、女性も半数、子育てや介護をしながら働いているメンバーもいます。インサイドセールスは、今後の日本に合った働き方ができる魅力的な職種だと思いますし、単なるキャリアの通過点としてではなく、その道のプロフェッショナルが求められていくと思います。

成長分野では早い段階でマネジメントを任されることも(エン・ジャパンの若手ハイキャリア向け求人サイト『AMBI』責任者 峯崎 直哉さん)


 ザ・モデル型のセールス組織が主流になっていく中、戦略の実行においてキーになるインサイドセールスの役割の重要性はますます増しています。需要の高まりを背景に、転職決定時の年収も上昇傾向。高いコミュニケーション能力があれば未経験からも挑戦しやすい職種でもあります。
 マーケティング部門やフィールドセールス組織との連携も多いため、スキルが身に付けば近隣部門へのチャレンジも歓迎されます。成長事業では組織拡大に伴い、早いタイミングでマネジメントを任される機会もあります。スペシャリスト、ハイプレーヤー、マネジメントなど追求できる幅も広い職種と言えるでしょう。

(ライター石臥薫子)

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedoNIKKEI SEEKS日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック