集中できなくてもインプットは可能 読むスキル全公開
八重洲ブックセンター本店
ビジネス書・今週の平台本の読み方も実践的に解説
そうしたデジタルメディアと並んで、本の読み方にもたっぷり筆を割く。こちらでも電子書籍の利用法からリアル書店・紙の本の活用法まで、自身のやり方を今日のツールの広がりに応じて幅広く具体的に解説してくれる。その上で大量なインプットの果てに「『世界観』を学んで自分の血肉のようなものにする」という最終目標を提示する。これを著者は「知肉」と呼んでいる。
幅広い対象について発信するジャーナリストゆえの大量インプットとみることもできるが、メディアを分類・選別して大量の記事を読み、多様な視点を獲得、それを世界観へと育てていくことはどんなビジネスパーソンにも有効な知の生産技術といえるだろう。デジタルツールの活用次第でこうしたインプットをあらゆる隙間時間の積み重ねでやってのける技法も実践的に解説されているから、時間がとれない悩みがあるなら大いに参考になりそうだ。
「このところ息の長い売れ筋が売れて新刊への反応が薄い。そんな状況でも紙もデジタルも使いこなす著名な著者ということもあって、店頭での反応はいい」と同書店でビジネス書を担当する川原敏治さんは話す。
上位5冊中3冊が旧刊
それでは、先週のランキングを見ておこう。
1位はドローンビジネスなどを展開する起業家によるビジネス戦略の本。2位は物流業界の最新動向を取材・解説したムックだ。3位は経団連のリポートで、春闘を前にしたこの時期まとまって売れる。4位の本は人気の脳科学者が脳を活用してパフォーマンスを最大限発揮する31の方法をわかりやすく紹介する。5位はパズル作家による「トロッコ問題」「アキレスと亀」といった思考実験の紹介書だ。こちらは2017年刊の本で、1位と4位も21年9月刊の本と、息の長い売れ筋や再注目された昔の本が上位に並ぶ。今回紹介した情報術の本は7位だった。
(水柿武志)