頓挫寸前の案件でリーダー志願 GPTWママ社長の気概
GPTWジャパン代表 荒川陽子氏(上)
キャリアの原点コツコツ肌だが、盛り上がるのも好き
自身を「コツコツ努力型」と称する荒川氏は、推薦で東京都立駒場高校に進学。上智大学経済学部も推薦で入り「人生で一度も一般入試を受験したことがない」と笑う。就活は、リクルートグループを中心に人材系の会社を片っ端から受けた。理由は「働くことをもっと面白くする仕事に関わりたいと思ったから」。
父はもちろんのこと、子育てをしながら生き生きと働く母を見て育ったおかげで、自身は働くことにポジティブなイメージを持っていたが、通勤電車に乗る人々の表情は一様に暗く見えた。就職氷河期に会社に入った先輩たちも、会うたびに会社の愚痴をこぼしたり、メンタルを病んで休職したりしていた。多くの人が人生の大半を費やす仕事を、もっと楽しめるもの、やりがいを感じられるものにしたい――。そんな思いで、人材の仕事を志した。

どういう雰囲気、カルチャーの組織なら自分が自分らしくいられるかを考えるようになったと、学生時代を振り返る
最終的に後にリクルートMSとなる会社を選んだのは、「同社の組織カルチャーが合うと思ったから」。就職した03年時点では今ほど「カルチャーフィット」を重視する学生は多くなかったはずだが、これには苦い思い出が関係しているのだという。
「私は中学では吹奏楽部、高校でもオーケストラでチェロを弾いていたので大学でも管弦楽団に入ってチェロを続ける気満々でした。ところが、なんと入部させてもらえなかったのです。丁重にお断りされたのは、私ともう1人の男子。思い当たることといえば、その2人が最初のコンパで周囲よりテンション高く騒いでしまったことでした。もちろんそのコンパの一件が、本当の理由かどうかはわかりません。でも、オーケストラの真面目な雰囲気の中でこの2人が浮いていたのは確かでした」
「結局、その男子と学園祭実行委員会に入り、3年生では執行部として学園祭全体を仕切りました。入りたかった部活に入れてもらえなかったのは、すごくショックでしたが、その出来事をきっかけにどういう雰囲気、カルチャーの組織なら自分が自分らしくいられるかを真剣に考えるようになりました」
リクルートMSは当人いわく、「(結婚情報誌の)ゼクシィや(飲食店サイトの)ホットペッパーを作っているリクルート本体の華やかで勢いのある部署に比べると比較的真面目。だけど仕事終わりに飲みに行くのもOKというカルチャー」。基本は真面目なコツコツ型だが、チームでワッと盛り上がるのも好きな自分に一番合っていると思えた。
入社後は時間をいとわずハードに働き、営業の仕事にやりがいを感じていたが、6年目に壁にぶち当たる。大手企業の担当を任され、顧客企業からの信頼も十分得ていると自負していたが、当時の上司からは全く評価してもらえなかった。