こうするから嫌われる 謝り方のポイントを一挙に紹介
『「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』より
ブックコラム謝罪に「早すぎる」はない
「叱られたとき」「注意をされたとき」にどんな態度をとるかによって、評価や周囲が見た印象は変わってきます。大切なのは、「すぐに」謝ることです。
大野萌子さんは、『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)で「謝罪の三原則」に触れ、
・シンプルに
・1分1秒でも早く
謝ることを推奨しています。
明治大学文学部教授でコメンテーターとしても活躍する齋藤孝さんは、『1分で大切なことを伝える技術』(PHP研究所)の中で、
「『申し訳ありませんでした』といった謝罪の言葉を、『後で言おう』と思っているうちに忘れてしまったことはないだろうか。謝る気持ちが強すぎると、かえって言ったつもりになってしまうのである」
と述べています。「謝罪の言葉を言い忘れないよう」注意をうながしているのです。
また、場合によっては謝罪を電話などで済ませるのではなく、直接会いに行くことも大切です。
野呂エイシロウさんは、『「話のおもしろい人」の法則』(アスコム)の中で、
「トラブルが発生したり、相手に謝らなければならない場面では、どんなに忙しくても必ず時間をひねり出して、直接会うことにしています」
と述べています。直接会ったほうが、ニュアンスが伝わりやすいからです。
もっとも重要なのは「同じ過ちを繰り返さない」こと

「100冊」からのポイント抽出の様子。本書では、「多くの本で紹介されている=より重要」としている
100冊の中には、「謝りすぎ」にくぎを刺す意見もありました。
相手がもう忘れようとしているにもかかわらず、いつまでも覚えていて、「あのときは申し訳ありませんでした」と謝るのは逆効果です。
社会心理学者の渋谷昌三さんは、『人を傷つける話し方、人に喜ばれる話し方』(ワック)の中で次のように述べています。
「すでに落着した『昔の話』なのに、当人がわざわざ蒸し返してあやまるのですから、イライラもつのります。そのうちに苦手意識も生まれ、あの人とは会いたくない……という気持ちにもなってきます」
謝罪の気持ちを持つことは大切です。しかし、いつまでもその気持ちに引きずられるのではなく、「同じ過ちを繰り返さない」と覚悟を決めて、「失敗を成功に転化する」ことを考えましょう。
(日経BP 宮本沙織)