タスク管理のコツ お薦めツールや無料の方法も紹介
知っておきたいリスキリング
リモートワークが普及して便利になった一方、なぜかタスクに追われている……と感じている人は多いのではないでしょうか?
プロジェクト単位で仕事をするケースも増え、チームとして、個人として、どうやってタスク管理をしていけばいいのか。うまくいかない原因や、上手な人のコツ、おすすめのツールや、エクセルなど無料で管理できる方法も紹介します。
タスク管理とは
仕事を効率よく進めるために重要なのが、タスク管理です。例えば業務の中には、完了まで長時間を必要とするプロジェクトのように大がかりなものもあれば、翌週行われれる社内会議の準備、一両日中に提出が求められる書類作成といったものがあります。タスク管理とは、それらの業務を滞りなく遂行できるよう、何をすべきかという作業単位に分解し、それぞれに期日を割り当てて業務を進める業務管理のことを指します。
業種や職種、担当部署などによって個人の業務内容は異なりますが、「業務としてやるべきこと」はすべてタスクと考えることができます。資料作成のための下調べやメールの確認などもタスクのひとつであり、業務にあたる以上必ずタスクが発生するということになります。
最近、タスク管理が注目されるようになったのは、働き方改革によって業務効率化自体が重要視されるようになったことが背景にあります。また、小規模なベンチャー企業の増加や終身雇用の崩壊なども要因となり、従業員教育や管理が個々人の責任として委ねられるケースが増えてきました。
タスク管理の目的
タスク管理は、プロジェクトやチームのように複数のメンバー間での管理と、個人の業務における管理に分けられます。いずれも主な目的は、進行管理、業務の効率化、リスク管理です。
タスク管理を適切に行うためには、まずタスクを明確にして細分化することになります。その過程で無駄なプロセスや工数の不足を事前に把握し、効率化を図ることができます。必要なタスクが「見える化」されることで業務の抜け漏れを防ぎ、タスクの遅れを早期発見することで早めに対策することが可能になります。
プロジェクト管理との違い
タスク管理と混同しやすいものに、プロジェクト管理があります。
タスク管理というのは、それぞれの業務を断片的に管理するものになります。特に、個人でのタスク管理の場合には、1人の人がいくつかのプロジェクトや業務を並行して進めていることも多く、「その人のすべきこと」をすべて管理します。
プロジェクト管理というのは、文字通りプロジェクト全体の管理をすることです。プロジェクト管理の目的は、進行の遅れがなくプロジェクトを遂行させることと、プロジェクトの効果を最大化するためです。そのためプロジェクト管理には、プロジェクトに必要な業務と期日の管理だけではなく、必要な予算や人員、プロジェクト自体の品質の管理なども含まれます。
タスク管理がうまくいかない人のよくある原因
タスク管理は2000年代後半から書籍や雑誌を通して知られるようになり、働き方改革の影響やスマホアプリやウェブツールの普及により、最近ではより広く注目されるようになりました。実際、ITツール比較サイトの「STRATE(ストラテ)」が2022年2月に実施したアンケートでは、約65%の人が何らかの形でタスク管理を日常的に行っていると回答しています。

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一方で、22年にヌーラボ が実施した調査では、約60%以上の人が「自身のタスク管理に課題がある」と回答しています。この結果からは、タスク管理の必要性は感じるものの、実際に挑戦してみると難しさに直面する人が少なくないことが想像できます。では、タスク管理がうまくいかない原因にはどのようなことが考えられるのでしょうか。
頭の中でタスクを整理しようとする
タスク管理がうまく進まない一つの要因には、頭の中でのみタスク管理を実践しようとすることが挙げられます。タスクというのはつまり「やるべきこと」ですが、実際の業務ではタスクごとに期日や重要度、優先度などが異なります。いくつもの業務が並行して進む上で、頭の中だけでタスクを整理しようとすると、このタスクごとの違いを整理しきれなくなることがあります。もちろん抜け漏れが発生するリスクも生じます。
うまくタスク管理を進めるためには、タスクを客観的に、かつ正確に把握することが重要です。
タスクにかかる時間を過小に見積もる
タスク管理がうまくいかない人は、タスクにかかる時間を少なく見積もってしまう傾向があります。当然、結果的に想定していた時間や期日までに完了しないタスクが発生してしまいます。
これは、特に業務過多でやるべきことが多い状況で生じやすい問題です。「なるべく早く終わらせたい」という思考から、それぞれのタスクに割り当てる時間が少なくなることがあるのです。タスク管理は業務を効率的に進めるために有効な手段ですが、それはタスクの無駄を省いたり優先度を見直したりすることが可能になるからです。それぞれのタスクにかかる時間や工数を少なく見積もってしまうと、それが成立しなくなってしまいます。
タスクにかかる時間を正確に見積もることで、そもそも期日に無理があるといった問題点も早期にわかり、対策をとることができるようになります。
タスクの粒度が大きい
タスク管理をうまく進めるにはタスクの整理が鍵となります。ところが自分ではうまくタスクを整理したつもりでも、タスクの粒度が大きすぎると管理しにくくなることがあります。
たとえば「資料を作成する」というタスクを挙げたと仮定してみましょう。実際には、資料作成のために文献のリサーチや、ヒアリング、あるいはそれらを実際の資料に落としこむ、といったように様々な作業が含まれます。タスクの粒度が大きすぎると、そのタスクを完了するまでに必要な作業のステップや、それに対する工数などを見誤ってしまうことがあります。
周囲とのコミュニケーション不足
見落とされがちですが、周囲とのコミュニケーション不足というのも、タスク管理がうまく進まない要因の1つになり得ます。
そもそもタスクを抱えすぎてしまうと、整理や管理に努めようとしても自分では処理しきれない状況に陥ることがあります。一見、自分がやるべきことのように思える仕事でも、周囲の知見を活用するなど、効率の良い方法を探すこともタスク整理の一部です。また、自分では優先度が高いと認識していたタスクでも、プロジェクト全体を通して考えると状況が異なるというケースもあります。
タスク管理をうまく進めるためには、周囲との認識のすり合わせや、適切な情報共有が重要です。また、何かトラブルがあったときにも周囲の力を借りやすい状況であれば、早期に対策することが可能になります。
タスク管理がうまい人の解決策
タスク管理がうまく進まない原因を理解したら、次に重要なことはその対策を知り、実践することです。今度はタスク管理がうまい人が、これらの原因に対してどのような解決策を取っているのかを説明します。
タスクを細かくブレイクダウンする
タスク管理のポイントのひとつは、タスクをできるだけ細分化することです。タスクを整理する際には、作業レベルで考えるようにすると整理しやすくなります。例えば「見積もりを作成する」という業務を細分化すると、「過去の見積もりを精査する」「他者の見積もりを調査する」「クライアントのニーズを正確にヒアリングする」といったように分割することができます。
タスクをブレイクダウンする際は、それぞれの作業時間を具体的にイメージできるまで分割することと、「そのために発生する作業」が思い浮かばない状態まで分割することを目安にしてみましょう。
タスクの優先順位をつける
タスク管理では、どのタスクから着手するか、どのタスクにどれだけの工数を充てるかということを決定するのが重要なプロセスです。洗い出したタスクに優先順位をつけることで、タスクの順序や工数を割り当てやすくなります。
タスクの優先順位をつけるには、それぞれのタスクの緊急度と重要度という2つの軸で考えてみましょう。すると、それぞれのタスクは次の4つのどれかに当てはめることができるはずです。
・緊急度は低いものの、重要度が高いタスク
・緊急度が高く、重要度は低いタスク
・緊急度も重要度も低いタスク
上記の項目は、上から順に優先順位が高いと言えます。一見、当然のように感じるかもしれませんが、大きな仕事から取りかかる人や、書類仕事から片付けると決めている人など、人それぞれ仕事の進め方に癖がある場合もあります。タスク管理に課題を感じているならば、その癖が原因の一つになっているかもしれません。
また、重要度が低くても緊急度の高いタスクは、緊急度が低く重要度が高いタスクよりも優先される傾向があります。そのため、優先度を主観的に決めるのではなく、上記のように一定の定義に当てはめて考えることが大切です。
タスクに費やしている時間を可視化する
現在タスクに費やしている時間を可視化することも、タスク管理の重要なプロセスです。
タスク管理を始める前に、まずはどのタスクにどの程度の時間をかけたかを記録してみましょう。実際にそれぞれのタスクにかかっている時間を正確に把握できるため、時間を少なく見積もってしまうのを防げるはずです。また、優先度が低いのに時間をかけてしまっているタスクや、効率化しなければならないタスクがどれなのかを洗い出すことができます。

写真はイメージ(PIXTA)
さらに、時間配分そのものにさほど意識を向けてこなかった人の場合には、時間を意識することで集中力があがることもあるでしょう。
このようにタスクの所要時間を明確にすることで、タスク管理がやりやすくなるだけでなく、直接的に業務の効率化につながることもあります。
他のメンバーに頼る
タスクの細分化や優先順位付けがうまくできていても、想定通りにタスクが進まないという人は、そもそも処理能力に対してタスクがあふれている状況が考えられます。これは、必ずしも業務過多とは限らず、タスクの処理の仕方を変えることで改善につなげられるかもしれません。
いわゆる「仕事ができる」人ほど、仕事を1人で抱え込まず適切に他のメンバーの力を借りていることは多いものです。例えば資料を作成する際にデータの分析が必要になった際、誰かに相談すればすでに分析結果のリポートを持っている人がいるかもしれません。あるいは、分析結果自体はなくともフォーマットをもらうことで工数が軽減されることもあるでしょう。
作業ひとつひとつのことでなくとも、業務の進め方について相談すれば、効率的な方法のアドバイスがもらえることもあります。特にリモートで仕事をしていると同僚の仕事の進め方が見えにくくなったり、雑談の機会が少なくなったりしがちです。
タスク管理に課題を抱えているならば、ささいなことでも積極的に他のメンバーの意見をあおぐ機会を作ってみましょう。
最適なタスク管理方法を選択する
タスク管理の方法には、ノートや手帳に書き出す方法や、個々のタスクを付箋に書き出す方法、タスク管理ツールを利用する方法などがあります。それぞれ一長一短で、扱いやすさ、手軽さ、情報共有や分析などの機能面などで差がでます。
例えばツールの利用に慣れること自体に負荷を感じる人は、ノートや手帳、付箋を活用する方が向いているといえます。業務上の移動が多い場合、付箋をなくしてしまう可能性があるので付箋での管理は不向きです。
さらに、個人タスクとプロジェクト関連のタスクで方法を分けている人もいます。タスクの整理や管理自体がおっくうになると、いつの間にかタスク管理をやめてしまうこともあるため、自分にとっての扱いやすさや業務内容によって、最適なタスク管理方法を見つけることは、継続しやすさの鍵のひとつです。
タスク管理ツールの特徴
タスク管理には、主に付箋やノートなど紙に書き出して管理をする方法と、アプリなどの管理ツールを活用する方法があります。最近では部署やプロジェクトごとにタスク管理ツールを導入することが増えているため、タスク管理ツールの特徴を説明します。
主な機能
タスク管理ツールにはさまざまなものがあり、細かい機能はツールごとに異なります。どのツールにも備わっている基本的な機能には、下記が挙げられます。
・タスクの可視化
・通知機能
・情報共有
タスク管理ツールは、複数のプロジェクトが設定できるようになっています。ガントチャートなどでプロジェクト全体の期日や進行を確認できるものがほとんどです。さらに、プロジェクトの進行に必要なタスクを細分化し、プロジェクトにひもづけ、それぞれのタスクに期日や担当者を割り当てます。通知機能を使えば期日が迫っているタスクや、期日が過ぎているタスクのアラートが出るため、抜け漏れを防ぐことができ、進行の遅れもいち早く対応できるでしょう。
導入のメリット
タスク管理ツールを導入するメリットは、主に下記の3つです。
・情報共有
・情報の蓄積
タスク管理ツールでは、基本的にはプロジェクトやタスクに関する情報は、プロジェクトメンバー全員で共有できるようになっています。誰でも進捗を確認できるため、プロジェクトオーナーは進捗の進みや遅れを容易に確認できます。チームメンバーも、誰がどのタスクを担当しているのか把握できるため、何を誰に確認すべきかといったことも判断しやすく、工数削減につながります。
さらに、すでに完了したプロジェクトのデータが蓄積されるため、同様のプロジェクトが立ち上がった際、タスクや期日配分の参考にしたり、問題が起きやすいポイントを把握したりということにも役立ちます。
選ぶときのポイント
タスク管理ツールを導入する際には、いくつかのツールを比較してみましょう。どのツールが最適か、というのはチームやプロジェクトによって異なります。比較ポイントは次の点です。
・スマホ連携
・セキュリティ
・タスク管理方式
・利用料金
基本機能以外にも、チームメンバーによるチャットやメッセージボードといったコミュニケーション機能が備わっているものや、工数分析などの機能があるツールなど、それぞれ特徴があるので、プロジェクトに併せて必要な機能を備えているツールを選びましょう。スマホ連携の有無や、二段階認証といったセキュリティ面も考慮する必要があります。
また、タスク管理にはカンバン方式、スクラム方式、ウォーターフォール方式、アジャイル方式などいくつかの手法があります。それぞれの管理方法を簡単に説明します。
カンバン方式
それぞれのタスクをカード(カンバン)にし、作業前、作業中、作業完了、というステータスを割り振る管理方法。プロジェクト全体を俯瞰して見たときに、どのタスクがどの工程にあるか、というのがわかりやすいという点が大きなメリット。それぞれのタスクの大きさや優先順位などはわかりにくいという特徴もある。
スクラム方式
チームごとに必要なタスク、期間、担当者を振り分け、定期的に会議などコミュニケーションの場を設けて進捗の確認や品質などを共有する方法。チームごとの役割やチーム内での役割がわかりやすく、同時並行で様々なタスクを進行しやすい。ただし、日々タスクや期日の見直しができる可変的な部分が、かえってプロジェクトの進行を遅らせてしまったり、タスクの「完了」に関する共通認識が持ちにくい、というデメリットもある。
ウォーターフォール方式
それぞれのタスクが線形に繋がっている管理方法。前のタスクが完了したら次のタスクが発生する、という仕組みで、タスクは前に戻ることはないというのが前提。必要タスクと期日を最初にきちんと設定していれば計画通りに進めやすいが、途中で部分的に変更を加えることが難しい。
重要なのは、プロジェクトの性質や特性によって適切な管理方法が異なるという点です。これらの管理ツールには無料で利用できるものもあれば、利用可能人数や機能によって料金が設定されているものもあるので、予算に併せて検討しましょう。
チームでタスク管理ツールを導入するときのおすすめ5選
チームやプロジェクト単位で情報共有でき、全体管理ができるというのは管理ツールの大きなメリットです。機能や特徴によって、チームでの利用に向いているツールと、個人での利用に向いているツールに分けられます。チームでの導入におすすめのツールをそれぞれ見てみましょう。
チーム向けのタスク管理の中から、ユーザー数が多く機能性に優れ、ユーザー評価が高いツールをご紹介します。

Notion
Notion(ノーション)の特徴は、とにかく豊富な使い方ができる、という点です。
プロジェクトごとにガントチャートを作成し、全体の進行管理ができ、それぞれに紐づけたタスクを設定することで、タスクごとの担当者や進行状況、期日などが簡単にわかるようになっています。プロジェクトを設定しなくても直接タスクのみ登録することもできるので、上長が部下の業務を把握するのにも役立ちます。
さらに、タスクではなくメモやノートのように簡単に情報のみ記載したページを作成でき、そこにはデータや画像を添付することが可能です。サイドバーやリンクを設置すればそれぞれのページに簡単に遷移できます。これを運用マニュアルや、社内wikiに活用している企業も多いようです。
Trello
カンバン方式のタスク管理をメインとした管理ツールで、使いやすさを特徴としているのがTrello(トレロ)です。どんな人でもすぐに慣れることができるシンプルなUIで、チーム全体で個々のタスク状況を一元管理したいというケースなどに適しています。
拡張機能でガントチャートを利用することができるので、プロジェクトごとのタスク管理にも有用です。拡張機能以外にも、SlackやGoogle、Jiraといった他ツールとの連携が簡単なのも魅力です。
さらに、TrelloにはButlerという自動化機能があります。これは、たとえば毎日決まった時間に自動的にTo Doリストにタスクを追加したり、自分のタスクを完了にすると同時に、次の担当者にそのタスクを振り分け、一定の期日を設定するなど、ルーティンで発生する項目を自動化できます。タスク管理のために費やす時間を軽減でき、業務全体の効率化につながる機能です。
Backlog
海外で提供されているサービスが日本向けにも対応しているというツールが多い中で、Backlog(バックログ)は日本企業が展開しているツールです。日本語でのメニューやヘルプ項目が充実している点に使いやすさを感じる人は多いようです。
Backlogの特徴的な点は、柔軟に権限が設定できるところです。管理者、一般ユーザーに加えてゲストという権限があり、プロジェクトごとに社外の人でも追加することができます。
また、Backlogでは、利用料金に併せて最大1TB(テラバイト)のクラウドストレージを利用することができます。容量の大きいサイズのファイルでも簡単に共有でき、これのバージョン管理ができるのも特徴のひとつです。
Asana
タスクの依存関係を設定できるのは、Asana(アサナ)の大きな特徴です。タスクの依存関係というのは、特定のタスクが完了しないと発生しないタスクのことを指します。例えば、データ解析が完了しないとクライアントにレポートの提出ができない、外部からの請求書を申請しないと支払いが行われない、などが依存しているタスクの一例です。1つのタスクに複数のタスクを依存させることもできれば、複数のタスクに1つのタスクを依存させることもでき、これを活用することで、プロジェクトの管理がよりスムーズになります。
さらに、ポートフォリオ機能では複数のプロジェクトの進行具合を一度に確認することができます。これは、同部署で進行している複数のプロジェクトを管理したい場合などに最適です。
また、チャット機能もあるのでコミュニケーションツールとタスク管理ツールを分けなくてもよいという手軽さも、高評価の一因となっています。
Wrike
Wrike(ライク)は、サブタスクの管理がしやすいという特徴を持っています。サブタスクというのは、大きなタスクを完了するために発生するタスクをさらに細分化したものです。大きなタスクを親タスク、それをさらに細分化したものを子タスク、などと呼ぶこともあります。一般的なタスク管理ツールでは、たとえば子タスクまでしか設定できない、もしくはさらに子タスクに紐づく孫タスクまでしか設定できない、というように、設定できるタスクの階層が限定的です。しかし、Wrikeではこの階層に制限がありません。
サブタスクごとの進行をガントチャートで確認することもでき、関与者が多いプロジェクトの管理などにも向いています。
個人でタスク管理ツールを使うときのおすすめ3選
プロジェクト単位やチーム単位でのタスク管理は、全体の進行管理をスムーズかつ効果的にすすめるために重要です。しかし、仕事の上では一人の人が複数のプロジェクトに関わることも多く、個々人のパフォーマンスを最大化するためには個人でのタスク管理というのもとても重要になります。プロジェクト管理用のタスクツールと並行して利用する人も多いため、導入のしやすさと機能性、操作性の観点からおすすめのツールを紹介します。

Google Todo リスト
メモや付箋のように、シンプルに「やるべきこと」を可視化したい人、かつ業務上のスケジュール管理にGoogleカレンダーを利用している人にはGoogle Todo リストがおすすめです。Gmailの受信トレイからスムーズにタスクを追加できるのも特徴的です。
Google Todo リストは、カレンダーに書き込むような手軽さで、やるべきことと開始時間を設定することができます。他のタスク管理ツールと比較すると、タスクに期日を割り当てるのではなく開始時間を割り当てる、という点が異なります。また、タスクの共有機能などもありません。ただし、他のタスク管理ツールを開くことなくカレンダー上で設定できるため、一日の業務時間の時間配分を手軽に決めたい、という人にぴったりです。
Microsoft To Do
Microsoft To Doは、Windowsユーザー向けに展開されている無料ツールなので、Outlookとの連携がしやすいツールです。個人用のタスク管理ツールでありながら、タスクの期日を設定したり、サブタスクを設定したりと、自身のタスクの進捗管理をするために必要な最低限の機能が備わっているのが特徴的です。また、Microsoftのアカウントを持っている相手とは、簡単にタスクの共有も可能です。
Todoist
Google Todo リストやMicrosoft To Doは、それぞれに機能の違いはありますが、どちらかというと一日の時間管理を効率的に進めるためのタスク管理ツールといえるかもしれません。時間管理よりもタスク管理のほうに焦点を当てたい場合は、Todoistを使ってみましょう。
Todoistの特徴には、1週間や1カ月ごとの目標設定ができることや、時間や期日を設定しないTodoを設定したり、位置ごとのタスク設定ができるということが挙げられます。例えば営業職のように、業務の性質上物理的な移動が多い人の場合、オフィスに戻ったら着手したいタスクや、移動しながらでも進行できるタスクといったように「いつやるか」ではなく「どこでやるか」という観点でタスクを整理したい、というケースがあります。
Todoistでは、位置ごとにタスクを設定することができ、さらに住所や駅名などをリマインダーに入れておくことで、自分がその場所に着いたときにリマインドされます。移動先で常にタスク管理ツールを開く必要なく、タスクの抜け漏れを防ぐことができるのはとても便利です。
無料ツールでタスク管理する方法
特にプロジェクト管理のためのタスク管理ツールの多くが、利用の際に費用がかかります。しかし、タスク管理ツールをチーム全体で活用しきれるかという懸念がある場合や、予算に限りがあり有料ツールを導入できない場合には、無料ツールでタスク管理を行うという選択肢もあります。
無料版を試す
タスク管理ツールの中には、無料版のサービスを提供しているものがいくつもあります。ただし、すべての機能が無料で利用できるものは、比較的機能性がシンプルなものが多い傾向があります。また、有料版も無料版も提供しているツールの場合、一般的には無料で利用できる期間や機能、人数などに制限があります。
チームメンバーがタスク管理ツールに慣れていないようであれば、まずは無料版で運用を開始してみて、必要な機能に併せて最適な有料プランを選択するというのもよいでしょう。
エクセルで管理する方法
ガントチャートによる進行管理などは、タスク管理ツールを使わずにエクセルで管理することもできます。新しいツールの導入では、少なからずチームメンバーに負担がかかります。エクセルさえ使えれば他のツールに慣れなくてもタスク管理ができる、という点はエクセルを活用するメリットとも考えられます。さらに、項目を手作業で入力するという手間はありますが、エクセルであればタスクの期日や優先度など、必要な項目を自由に設定できます。フォーマット作成の工数を減らすためには、テンプレートを有効活用しましょう。
ただし、エクセルでのタスク管理は情報共有やプロジェクトの一部変更などに課題があります。細かく更新し、適切なバージョン管理を併せて実施する必要性があることは覚えておいてください。
Googleスプレッドシートで管理する方法
Googleスプレッドシートでのタスク管理の場合、シート自体はエクセルとほぼ同じ方法で作ることになります。エクセルと異なるのは、クラウドを活用しているため情報共有がしやすい点です。チームメンバーだけでなく、社外のプロジェクト関与者に共有したい場合にも、権限設定をすればシートのURLを教えるだけで簡単に共有できます。
ただし、共有設定や編集権限を適切に設定しないと、情報漏洩のリスクや誤った情報の入力といったトラブルの要因になります。
タスク管理のデメリット
タスク管理は業務の効率化やプロジェクト進捗の一元管理には適していますが、ネガティブな側面もあります。タスク管理のデメリットを理解し、より適切な運用の参考にしてください。
難易度の高い仕事が残ってしまいがち
難易度の高い仕事は、時間も工数もかかるものが多いものです。そのため、見える化したタスクを効率よく消化することにフォーカスした結果、難易度の高い仕事が後回しになってしまうことがあります。
これを防ぐためには、タスクの細分化と適切な優先順位付けが重要です。プロジェクトのタスク管理であれば、管理者が全体の進行を細かく確認し、滞っているタスクを早いタイミングで見つけ、工数や期日の見直しを適宜行うことも必要になります。
管理しすぎると逆に生産性が落ちる
タスク管理によってかえって生産性が落ちてしまう原因は2つあります。1つはタスク管理に時間を取られることです。特にタスク管理ツールを利用する場合、タスクの整理や入力、ステータスの変更といった新しい業務が発生します。ツールに慣れていない人の場合、想定以上に時間がかかることも考えられます。
もう1つの理由は、タスク整理やタスクの見える化が行われた時点で一定の安心感と達成感が生まれることです。実際にはまだタスク自体が完了していなくても、状況を把握できていることでタスクが完了したかのように錯覚してしまうことがあります。
これも、管理者が全体の進行を適切に把握することや、タスク管理導入初期にタスク完了までを一連のサイクルとして思考の習慣化ができるよう努めることが重要です。