変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

関心事からキャリア・アンカーを導く

実は、この対応表は逆の使い方もできます。

たとえば、自分が保有もしくは関心のあるスキルを調べてみたところ、タイムマネジメントやパソコンのスキルが挙がってきました。それはおそらく、自律的に働きたいという、自由人を求める価値観の表れではないかと思います。

自分のWhy や大切にしている価値がもうひとつよくつかめない方がいたら、右のスキルから左のキャリア・アンカーを導き出してみてください。その上で、もう一度、どんなスキルを伸ばせばよいか考えればよいのです。

見失いそうになったら原点に立ち戻る

話を最初に戻すと、必要性でも親和性でもなく主体性、すなわち自分が心から身につけたいと思うスキルに取り組むのが3つ目のアプローチでした。

好きなものに取り組めば、スキルアップへのモチベーションが高まり、上達も早くなります。自分の能力やキャリアを主体的に開発することにもつながります。働きがいにも貢献します。

とはいえ、そんな身勝手が通用しないのが宮仕えのつらいところです。キャリア開発よりも目の前の実務を着実にこなしたり、チームの一員として適切に振る舞うことが優先される場合が少なくありません。やり過ぎてワガママにならないよう、気をつけなければなりません。

それと、「馬に生まれたのに木に登るな」という話を前節でしました。まさにそうなってしまう危険性がこのアプローチにはあります。見果てぬ夢を追い続ける人が出てしまうのです。

いつもWhy やキャリア・アンカーから考える必要はありません。仕事に追われて自分を見失いそうになったとき。仕事が一段落して次に何をしようかとふと思ったとき。そんなときこそ"そもそも"を考える絶好の機会です。

仕事を通じて「何をしたいのか?」「どうありたいのか?」と原点に立ち戻って、スキルアップを考えてみるとよいでしょう。

堀公俊
組織コンサルタント。日本ファシリテーション協会フェロー。大阪大学大学院工学研究科修了。大手精密機器メーカーで商品開発や経営企画に従事。1995年からファシリテーション活動を展開。2003年に日本ファシリテーション協会を設立、研究会や講演活動を通じて普及・啓発に努める。著書に「ビジネススキル図鑑」「ビジュアル ビジネス・フレームワーク[第2版]」など。

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