エリートもぶち当たる「英語初級の壁」を克服する方法
サリー先生の英語術(下)
書いて話せる!サリー先生の英語術おさらいしますと、Kさんのメンタル問題は
①英語のイメージが極端に悪い
②自分には無理と思っている
の2つが当てはまりました。また社会人特有の ③忙しい問題 もあり、優先順位が低くどうしたらよいかわからないという悩みがありました。そして英語力の診断は以下です。
●全体的な英語のレベルは初級の上
●読み書きに比べるとスピーキングとリスニングが弱く、苦手意識がある
●自分周辺のことは少し話せますが、話題がなじみのないものになると途端にボキャプラリーと表現の不足で詰まってしまう
●相手に聞き返すYES・NOと5W1Hの質問が作れない(会話にならずQ&Aみたいになってしまう)
「過去は過去、今は今」覚悟決めて挑戦を
Kさんの問題の解決法
Kさんの場合、本気で英語に取り組むか/会社を辞めるかの選択肢でしたから、もうやるしかありません。メンタル問題の①で学生時代の苦手意識を引きずってしまっていたので「過去は過去、今は今ですから新しいものに挑戦しましょう」とお伝えしました。
わたくしも経験ありますが、どうしても学生時代の経験がベースになってしまうということってあるんですよね。私の場合はKさんと逆に数学が苦手でしたから、外資の会社でエクセルで関数やマクロをやらなければいけなくなり、恐怖で目の前が真っ暗になった覚えがありますから。
でも「ここで逃げては前に進めない」と覚悟を決めて取り組みましたら、昔はあんなにわけがわからなかったのに、社会人経験があるだけで理解できることってあるんですよね。それで少しわかるようになると、昔のイメージはなくなり逆に「自分にもできるじゃないか」と自信が持てました。「もう昔の自分はどこにもいないぞ」とも思いました。
そんな経験がありますから、ぜひ少し頑張ってエイっと英語の海に飛び込んでみていただきたいのです。「自分には無理と決めているのは、あくまで自分」ということに気づかなくてはいけません。
Kさんは③の忙しい問題もありました。焦りはあるけど先延ばしにしてしまう、という悪循環を繰り返していました。ここはあまり深く考えずに、やることをやっていただき、前へ進まなくてはいけません。優先順位を上げて、勉強ではなく日常の中で英語を使えるような工夫が必要です。
できるようになってくると、イメージも変わってきます。早い段階で少しでも達成感を感じることが必要です。カウンセリングで自分のメンタルの問題に気づくのは、社会人の学習者には必要です。では整理してみましょう。
目標は「会社からの通達でTOEIC600点超え」「点数が問題ではなく運用能力を上げなくてはいけない」でしたね。TOEIC対策をしながら運用能力を上げることは、もちろん可能です。ただし「ただ試験問題にひたすら取り組むという」Kさんのイメージするような「英語イコール勉強」と捉えてしまうと、いざという時にコミュニケーションが取れずに逆に遠回りになってしまいます。
真の目標は「英語で仕事ができること」で、日常会話の先にあるビジネス英語ですよね。仕事で英語が使えていれば、おのずと点数は出ますので心配不要です。初級から中級へと底上げするには、英語を「勉強する」のではなくコミュニケーションの道具として日々の中で使っていかなくてはいけません。最初の3カ月間は「基礎の確認+自分のビジネス単語の獲得×アウトプット」をしていきましょう。