エリートもぶち当たる「英語初級の壁」を克服する方法
サリー先生の英語術(下)
書いて話せる!サリー先生の英語術まずは中学英語の復習からスタート
Kさんの自宅取り組みメニュー
目標とレベルとメンタル問題がわかったら、まずは最初の3カ月を目標に自宅での取り組みメニューを提示いたします。Kさんにはビジネス会話のオンラインレッスンをしながら、この自宅メニューに取り組んでいただきました。このメニューはレベルや目標など人によって違うので全員に当てはまるわけではないのですが、重なる部分も多くありますのでぜひ参考になさってみてください。
①短期間で仕上げる基礎の確認 ―中学英語の文法・単語・熟語の復習
ここは少し勉強っぽくなりますが、短期間でやってしまうというのがポイントです。基礎ができていないと結局ここに戻ってこなくてはいけませんから、最初にやっつけてしまいましょう。疑問文を作る訓練をここでします。
②英語ライティングの課題 ―仕事の3行日記をつける
過去記事参照。この連載のコンセプト「書ければ話せる!」の実践です。書いたら、それを音読して声に出していきましょう。紙にペン、ではなくパソコンでやっていただきます。タイピング速度を上げるために英文タイプの課題も出します。
③Eメールライティング課題
過去記事参照。ビジネスマンにとってEメールライティングは必須ですので、型を覚えて黄金フレーズを使って課題にチャレンジしてもらいます。
④自分の仕事のビジネスボキャブラリー獲得
プレゼンに使う単語や表現など専門用語を、まず日本語でリストにして次に英語に直して覚えていきます。その際、発音とイントネーションにも注意して。これはTOEICの対策にもなりますので一石二鳥。レッスン時にテストして理解度もチェックします。
⑤リーディング
自分の興味のある記事や業界のニュースなど、多読をしていきます。要約をして自分の言葉で説明する練習もします。これをやると、インプットとアウトプット両方の練習ができます。
⑥リスニング
普段の隙間時間に、英語のラジオを聴いてもらいます。これは、とにかく多くの英語を聴いて意味を大まかにつかむ「多聴」です。それとは別に少しレベルが易しい課題を出して、リスニングしたりディクテーションしたりします。これは一つ一つの英文をしっかり何度も聴く「精聴」です。
「スピーキングを上達させたいから」とスピーキングばかりに注力するよりは、遠回りのようですが4つの技能を同時並行で鍛えるようなトレーニングに取り組んだ方が効果的で結果が早く出ます。細かい点では個人差がありますが、インプットとアウトプットの両方で英語の底上げができますし、真の英語力がついていきます。
Kさんは素直にトレーニングに取り組むことができました。その結果、4カ月目に初の海外出張に行き、自分の英語力の上達を実感することができました。その後、TOEICも700点を突破し、無事昇進・昇格できました。一つ一つ取り組み、一歩ずつ前に進むだけです。初級の壁を見事破ることに成功した例でした。では、次回もお楽しみに!
読者さんからの質問コーナー
Q:サリー先生、いつも楽しく拝見してます。英語学習にタッチタイピングが大事という以前の記事が新鮮でした。今までノートにペンで書くという英語学習しかしてきませんでした。キーボードを見ながら英文を打っていましたがタッチタイピングを練習するにはどうしたらよいでしょうか。(ペンネーム タイ★ピング)
A:タイ★ピングさん、お便りありがとうございます。そうですね……振り返ると、仕事で英語を使うときに手書きは全く使っていないなと気づきました。日常のコミュニケーションは、最近は特になのですが、オンラインで話す以外はメールかチャットでタイプしています。
私がオススメしているVERSANTのライティングテストはネットで受験しますのでタイプのみなのですが、これは実生活の活用面からいっても合理的だと思いました。実際にどのくらい英語が使えるのかが、タイピングの速さと正確さとともに測れるようになっています。
タッチタイピングができるようになると、手書きよりも断然早く文章にすることができます。無料のサイトがたくさんありますので「タッチタイピング」で検索してみてください。練習するのは日本語のローマ字ではなく、英文タイプです。タッチタイピングができるようになったら、写経のように覚えたい文章をひたすらタイプすると英語的にもとても良い練習になります。ぜひやってみてくださいね。

神林サリー Sally's English Lesson主催、英会話英語学習本作家。大学の専門は英米文学。アメリカ留学後は、ファッションモデルをしながら通訳・翻訳学校でプロの英語を習得。バックパッカー、オーストラリアでの就労経験、大手英会話学校の講師、外資系企業勤務の経験を生かしてレッスンを提供。著書に「朝から晩までイケメン英会話フレーズ」など多数。